日本を外側から見たユニークな視点でコメント
ここに掲げる論評は、平素日本で起きている出来事を 欧米の視点で眺め、無責任な批評ではなく、建設的な解決策を示唆 します。欧米先進国の前例、あるいは先進国を反面教師として多角的な 議論、提案を参考にして下さい。日本をより住み良い国に 変えるべく知恵を絞る出発点にしていただければ幸いです。(編集部)




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子供の虐待死母親110番を創ったら

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コラム

衆議院選挙2005
政治家「小泉純一郎」


 今度の選挙は「第2次大戦後、日本で最も劇的な選挙」と絶賛したのは、 英国のフィナンシャルタイムズだった。 確かに今度の選挙は今までのものとは違っていた。 刺客、マドンナ旋風、ガリレオ解散、劇場型選挙いろんな言葉が生まれる。 無料インターネットプロバイダーで一財産つくった、IT社長も刺客に変身した。

 結果は、吹きまくる旋風を巻き込んで、小泉純一郎ひきいる新自民党の劇的な勝利で幕となる。 滑稽なのは、小泉党は東京の比例区で票を取りすぎて候補者が不足、他党社民党の 候補を当選させるなんて前代未聞の珍事のオマケまでついた。 自民党に入れた票が死んで他党に回るということは、投票者の意思 を無視したことになる。公職選挙法でそれが許されているのだろうか。

小泉さんはオペラ観賞が好きだが、今度の選挙で、 本場イタリヤオペラの筋書きを地で行くような シナリオの展開には、 観客有権者は思わず唸った。野党はこのシナリオを読みきれず、傍観して いるうちに解散となり選挙に引きずり込まれ敗北する。

異例とも見えるこの解散を思いとどめようとしたパトロン(森前総理)を追い返して、 「殺されてもやる」とタンカをきったり、首相の座を1年後に退くと漏らして 儚さ寂しさを演出し、おおむこうの観客の心をつかんだ。 これだけ達者な政治役者を観たのは、久しぶりである。 だからといって、何もかも計算つくされ、仕組まれた実体の無い誇張でもない。 それは、小泉さんの生き様から自然に出てくる芸風らしい。

今度の解散劇は、外から眺めていると分かりやすく、結果が出たときは、 昨今の秋空のように澄み渡って、なんとなく爽快さがある。

郵政民営化は小泉首相の長年の持論だった。 官僚出身の議員が多い中で彼は党人と呼ばれる純粋な政治家の道を歩いてきた。

1979年に大蔵政務次官に就任したころから、彼は郵政民営化にこだわっていた。 彼が疑問に感じたのは、国民の虎の子を郵便貯金、簡易保険で集めて、集まった資金が 財政投融資(*注)制度を通じて特殊法人に流れ、国民の目の届かないところで “乱費乱用”されていることだった。

この金は、税金ではないからその使い方は国会の審議も要らないし、 会計検査院の監査の対象とならない。 それをいいことに、集った資金を役人や政治家は自分の采配で 財政投融資の傘の下で振り分けていた。 この美味しい金には当然、悪徳政治家が群らがる。それが建設族、道路族、郵政族となり 派閥の政治的権力の背景になった。

また、郵便貯金や簡易保険で集めた330兆円の資金は、財政赤字の穴埋めに充てられ、 特殊法人の非効率な事業も支えてきた。

その構造を改めることで政治のゆがみを正し、 経済の活性化につなげる、それが小泉郵政改革の最大の狙いだ。これを、彼は 自分の政治生命をかけて取り組んだ。それが「殺されてもやる」という一言に滲んでいる。 ガリレオが、宗教裁判で、ものすごい迫害を受けても、頑固に自説を押し通した苦境と 彼自身が重なって見えたのだろう、彼はガリレオの名をこのとき口にした。

郵便貯金や簡易保険の資金の貸し出し先の中には大赤字を計上しているところが多い。 資金を借り入れたものの返済の目途がたたないところが目立つ。
貸出先は、行政省庁の官僚達が作り出した特殊法人ばかりである。 特殊法人の多くは、表向きは立派な看板を掲げているが 仕事らしい仕事もなく、官僚の天下り先として設立されたものもある。 すなわち、遊んで高給の退職金がもらえる受け皿をこの資金で、過去40年間 自民党の派閥や族議員と共同して迂回機関をせっせと つくりあげてきた。

賢い役人は、国民の税金や郵貯、簡保の金を直接ポケットに入れると 犯罪になるが、このような特殊法人をどんどん作ってそこを迂回して給料として、退職金として 間接的に国民の金を合法的にポケットに入れるシステムを考え出したのである。 特殊法人は行政省庁の狡猾な官僚達が作り出したマネー・デ・ロンダリング(**注)の機関なのだ。

現在60以上にもなった全特殊法人の負債総額は、つもりに積もって360兆 円(平成13年)、郵貯の集めた額と同額、郵貯で集めた金は特殊法人の負債として 消えてしまった。いいかえれば、郵貯の金庫は空っぽなのである。  たとえば、住宅金融公庫損失3兆円、個人向け焦げ付き9000億円、 本四連絡橋公団9,200億円、 旧年金福祉事業団1.5兆円、簡保2、000億円、 石油公団3,500億円など半端な額ではない。 採算性の無い事業、返済など見込めない機関への投資はまだまだある。

この後始末は、最終的には税金となって国民につけが回ってくる。 天文学的な特殊法人の赤字を作り出した張本人はいったい誰か。 旧田中派・旧竹下派・旧橋本派、の「族議員」が中心だった。

全国の郵便局の窓口を通じていくらでも集まっくる郵貯・簡保の資金。 それを、財投という特別会計で公共投資と特殊法人にまわし、 派閥の政治的権力 の背景になっていたことは、多くの議員は前から知っていた。

政治家「小泉純一郎」もその一人である。 そこで、彼は族議員解体に乗り出した。また、その背景にある官僚社会主義を打破しなければ、 日本の真の構造改革はあり得ないと考えた。 それには、郵便貯金、簡易保険に集まった資金が財政投融資制度を通じて 特殊法人に向かう流れを変えることだ。

すなわち、郵政事業を民営化して、官僚や族議員に利用されてきた資金源を止めることだ。
「残された1番大きな改革が、資金の『入口』である郵政民営化です。構造改革を進めるうえで、 行財政改革や経済の活性化のための重要な方策なのです」と小泉純一郎は力説した。
彼が本丸と強調するのはこの点だ。国鉄民営化や電電公社の民営化とはレベルが違う。無垢な 数百兆円の国民の金が絡んでいる。

だが、その頃、国民の認識はまだまだそこまで行っていなかった。 悪徳国会議員の族議員は、ひたすら国民にこの部分を本丸の塀の向こうに 隠し続けた。選挙のたびに橋や道路を「人参」にして国民の目先を騙しながら、 再選されれば、着々と自分の懐を汚れた金で膨らませていった。

与党の族議員には、国政を預かると言う自負や倫理観など無い。 小泉純一郎、一人が倫理感の塊のように、悪徳議員や官僚と戦わねばならなかった。
英国のロンドンタイムスは、彼を、西部劇の名作、数人の悪漢と闘う「真昼の決闘」 の正義感に燃え、それに命を懸けるゲリークーパー演じる主人公に例えた。
海外のマスコミ、特に東京に特派員を置く 欧米のマスコミは日本の政情を日本人より良く知っている。 その理由は、ジャーナリズムの質が違うこともあるが、もうひとつ決定的に違うのは 日本のマスコミの自主規制や隠蔽体質が緩いから何でも記事にして公にしてしまう。 海外の方が日本のことが良く分かる。

今度の選挙前に、郵政民営化問題で有権者の間で盛んに議論になったのは、民営化すると 「過疎地から郵便局が無くなる」、このことがかなり重要な問題として争論されていた。
これには、海外のマスコミも首をかしげる。 過疎地の郵便局を存続するために、族議員や、特殊法人から甘い汁を吸い 続ける悪徳官僚はそのままで良いのか。
増え続ける特殊法人の負債をどうやって食い止めるのか。
過疎地の郵便局の問題とは次元が違いすぎる。
これは、弱者切捨てではない。例えば、現在、垂れ流している負債の1億分の1以下の資金で 過疎地に郵便局の機能は残せる。税法上その他の特権を与えれば、全国一律料金だって 可能だ。民間企業は必ず良い知恵を出してくる。
問題の本質と枝葉末節の問題を日本人は混同していないだろうかと。

この「真昼の決闘」は、小泉純一郎が勝った。枝葉末節の問題でひっくり返ることなく 郵政民営化に 突き進むことに国民が断を下したことは国民の良識が勝ったことでもある。
小泉純一郎、彼の政治人生において祈願の郵政民営化を果たせる目途がついた。今、 生涯でもっとも充実した満足感を感じているだろう。(2005/9/12)




注(*) 財政投融資

国の財政資金による投資および融資のこと。 資金源は、郵便貯金、簡易保険、あるいは国民年金や厚生年金の保険料など。国民から預った後、 財政投融資計画に基づき、財投機関に貸し出される。 この資金を「財投」という特別会計で公共投資や特殊法人に貸し出す。


注(**)マネー・デ・ロンダリング

マネー・ロンダリングの反対。きれいな金を汚い金に合法的かえる仕組み。


[フィードバック-1]
小泉劇場は周到に用意され、造反議員をわなにはめたヤラセであったことは公然とした事実です。 森氏がマスコミにばらしてしまってますよ。郵政はスケープゴートにすぎず、膨大な既得権益を造ってきた 自民党を延命させているにすぎません。(匿名)

(編集者)
今回、小泉自民党に投票したした人が一様に懸念するのは、ポスト小泉の自民党です。 国民は、1年のちの、小泉引退後のことは何も約束されていません。白紙委任したのと同様です。 しかし、衆議院議員の任期は4年。国民は、3年間じっと監視して、ポスト小泉の自民党が、 もとの膨大な既得権益を造ってきた 自民党に逆戻りするようなことになれば、次回の選挙で「NO」をつきつけましょう。 そのとき、くれぐれも、道路だ、橋だの目先の「人参」に惑わさずに候補者を選びましょう。 今回の都市部の有権者の投票行動をみると総入れ替えだって不可能ではありません。 民主主義社会では、(国)民、有権者、貴方が「主(ぬし)」です。あきらめてはいけません。

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コラム

真昼の決闘ー郵政民営化
小さい政府=民営化


 郵政民営化法案が8日の参院本会議で否決、小泉首相は直ちに衆院を解散し、総選挙となった。 この解散後、小泉首相はガリレオ・ガリレイを、自らに例え、「国会で郵政民営化は 必要ないという結論を出されたが、もう一度、国民に聞いてみたい」 と訴えた。
ガリレオと小泉純一郎、相当スケールが違うし、それにガリレオは宗教審判の後、 社会から葬られた。そこまで知ってて言った訳ではないだろう。

地動説を唱えたガリレオは17世紀、宗教裁判で、ときのローマ教皇庁異端審問所から異端の判決を受け、 終身刑を言い渡された。その後一生軟禁状態にされてさびしく亡くなった物理学者、天文学者、哲学者である。 勿論、小泉首相はガリレオの不屈の精神、裁判で有罪が決まったとき「それでも地球は回っている」 とつぶやいた、その根性をまねたのだろうが、ガリレオの敵は、ときのカトリック教会の 総本山ローマ教皇庁だった。今回の小泉さんの敵は、郵政族議員、スケールの違いは言うまでもない。

この小泉さんの今回の行動は、ガリレオというより旧ソ連のゴルバチョフ首相の決断に近い。 ゴルバチョフ首相は偉大な改革者として20世紀の歴史にのこる大政治家だ。 社会主義の超大国の共産党の最高幹部、ソ連邦の首相まで上りつめたゴルバチョフが、自ら共産党を破壊し 自らも何度も暗殺の危機にさらされながらも自国を改革、解放した英雄である。 のちに、「ロシア」と国名を戻してロシア国民を暗い社会主義の世界から解放した。

今回の解散に関連して、まだ記憶に新しい「加藤紘一の乱」を思い出す。 2000年11月、衆議院本会議で野党が森内閣不信任決議案を提出する動きがあった。 与党の加藤紘一は、 賛成もしくは欠席すると宣言した。山崎派などが同調すれば不信任案が可決され、 国民の支持が10%台まで落ち込んでいた森内閣は総辞職か解散となる。 この発言は、加藤派の自民党からの独立、 政界再編などを目的としたものと国民は受け取った。

ところが、加藤の腹心でもある小里貞利総務会長の説得を受け入れ、 欠席戦術に切り替えた。これを加藤は「名誉ある撤退」と呼んだ。 その結果、森内閣不信任決議案は否決され、加藤派は、加藤と行動をともにしたグループと、 反対したグループ(堀内派)に分裂した。  戦う、と威勢の良かった加藤がここに来て 腰砕けになったのは、国民には情けなかった。 果たして加藤自身の信念に基づく言動だったのかと疑いたくなる ようなひょう変ぶりだ。

加藤は日比谷高校から東大法学部を出たエリート中のエリートだった。 それが、彼にはマイナスに働いて同調者や選挙民を裏切る結果になったのではないか。 それはどう言うことかというと、 前にこのコラムで何度か同じ趣旨のことを述べている、その箇所をを引用してみよう。

『相手を甘く見ることは、大冒険を達成するひとつの隠れた条件でもある。 賢者は冒険家にはなれない。それは、相手を知りすぎてしまうと、 とても冒険などをする気になれないからだ。計算高い秀才は「そんな冒険などするより、 もっと楽な・・・」と考えてしまう』
弊コラムー<ひとつの命を惜しみ慈しみ、大切に扱おう 日本人の若人がイラクで人質(2)>より。

『わが国と先進国とどこが違うのか。・・・・ (日本人)の小利巧さも災いしている。 「そんな事をすると将来出世しないぞ」 上司から釘を刺されると「やめておこう」と臆病神が顔を出す。
「女房、子供の顔が眼に浮かんでくると・・・」 なんてありきたりの言い訳を自分に言い聞かせて思いとどめる。 また、人一倍正義感に燃えて仕事に取り組むと、今度も上司から 「おまえ、いつになったら大人になるんだ」 と、子ども扱いにされ蔑視される』
弊コラムー<1億円ヤミ献金事件裁判の行方>

ゴルバチョフもエリート街道を歩いてきた政治家だったが、 彼が加藤紘一のような、受験地獄を通り抜ける術を尊ばれる日本的なエリートだったとしたら、 ソ連の自国の改革解放などはしなかっただろう。 そのまま首相の椅子に任期満了まで座っていた方が、危険を冒してまで して改革開放をするのはどう考えても愚かだ。 改革後、その首相の座から追われるよりこのまま何もしない方がよっぽど利巧だ。 ここで改革を断行したら保守、守旧派の共産党幹部からの脅迫や、暗殺の危険もある、・・・などなど ソ連の指導者が、日本的なエリートや秀才だったら絶対にソ連の改革は起こらなかっただろうし 今もソ連邦は厳然と存在していたかもしれない。

小泉純一郎は、加藤紘一のような日本的な処世術を持ち合わせた秀才ではない。 むしろ、奇人、変人だが、国際基準で言うならば有能な政治家の範疇に入る。 ゴルバチョフも日本人から見れば変人、奇人だろうが。

社会を改革していこうとする指導者は、強い意志のほかに少々無鉄砲な冒険心の強い性格の人、 すなわち、変人奇人でなくては駄目だ。 その点、小泉さんは何かやってくれそうな期待感がもてる政治家だ。 古い「自民党をぶっ壊す」と言ったあの信念は今でも健在だ。

郵政民営化は、避けて通られない今世紀の課題であろう。 世界は、政府の役割の縮小化の流れの中にある。前世紀の修正資本主義の中心的な役割 を果たした政府の介入を提案したケインズ経済理論は、 先進各国に莫大な財政赤字を生む結果となって今世紀に引き継がれた。 英国をはじめ先進国は、それに早くから手を打ち民間で出来ることはすべて民間で、 と言う考えの下に政府機関の民営化を進めている。 国民の税金を使わずに、郵貯、簡保、郵便業は民間にやらせればいい。その方がよっぽど 効率的でコストも安くなる。

先進国中で一番財政赤字を抱えている日本がこの民営化に一番遅れている。 小さい政府とは掛け声だけで、行政改革は一向に進まない。 公務員を今の半分以下に減らさないとその目的は果たせない。 野党、民主党は郵政民営化政府案に批判的だった。党内の労組系議員を中心に、 民営化反対派を抱え、 民主党には、郵政民営化はできないだろうと有権者は見抜いている。 次回の選挙で政権交代を望んでいた有権者や、民主党には民営化論争は逆風になるのではないか。

前回のコラムで触れた、
  「小泉さんが首相になってから、世の中が除々ではあるが変わり始めました。 彼はどんな贈り物でも突っ返すという変人・奇人的で潔白な人柄です。 『水、清ければ魚棲まず』という日本的な風土とは全く正反対の人です」(コラム-財閥の犯罪) と述べたがその傾向が今回、顕著に現れた。

今回の解散の前に、小泉さんのボスに当たる森前総理が小泉さんに解散を思いとどまるよう説得 したが駄目だった。「彼は変人奇人だ。さじを投げた」といって怒っていた。 今まで、根回しや舞台裏工作で功を奏した 青木参院議員会長の手法も崩れた。

これは、海外から見ると非常にすっきり明快に日本の政治が見えてきたことにもなる。 今度の小泉首相の郵政民営化参議院否決、解散劇について海外メディアは大方好意的な 論調をしている。

 今回の小泉首相の行動について、 デーリー・テレグラフは、「自民党の古い保守派と戦う今までに無い特出した首相の一人」と 小泉首相をベタ褒めした。

ロンドン・タイムスは、すぐに社説で取り上げ次のように日本の有権者に注文している。
「自由民主党の反逆者たちは、新たな政党をつくるかもしれない。 今度の総選挙は、『より小さい政府にするか、あるいは旧態然としたの無駄遣いの多い 政府のままでいいのか』 の選択の分かれ道だ。
自民党が10年前、一時的に政権から離れた時と同じことが起こるかもしれないが、 それは、党を優先する党派心から脱却して国益を優先することが できるかどうか、また古い体制に固守する保守的傾向を排除できるかどうかにかかっている。
小泉さんは、「真昼の決闘」など西部劇のファンだが、現在、彼自身がその決闘シーンの中で 相手に立ち向かっているのだ。 彼は、硝煙くすぶる銃を手にしてさらにもう一歩前進 - この男を、日本の有権者は、 見捨ててはならない」

と、小泉さんには好意的な論説を掲げている。日本のマスコミでもここまで力強いエールを 送ってはいないだろう。 海外では、小泉さんの政治手法は不可解な妥協が少なく非常に分かりやすく好評のようだ。 ところで、小泉さんは今、決闘に向かうゲリー・クーパーの心境だろうか。

[関連記事] エッセイ井戸端談義:きよしとじろうー郵政民営化

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[フィードバック-1]
 何から何まで政府が保護をするといけないと思うし、国民も自立しなくなると思います。 過疎地の郵便局がなくなるとか言いますが、 (子供なので余りお世話になった事が無いからでしょうか) 郵便局がなくなってもそんなに不便な感じはしないと思います。 なくなったらなくなったで、その状況で生活するべきだと思います。(匿名)

(編集者)
 過疎地でもコンビニがあれば、その片隅を借りて民間郵便局はつくれます。 「過疎地の郵便局がなくなる」と言うのは、反対派の言い分ですが、日本人が 知恵を絞れば、あるいは先進国の民営化の例を見ればそうでない事が分かります。


[フィードバック-2]
小泉政権は米国のような貧富の差が大きくなっても活力 のある社会を目指していることをもっと明確に言った 方が良いと思います。 お金持ちは郵便局なんか無くても全然困らないし、困る のは貧乏人だけですし。 過疎地の郵便局がなくなるかどうかは今の段階では 何とも言えないのでは? 民間企業なら残す場合もあるし残さない場合もある と思いますが。 なくなるという根拠も残ると言い切れる根拠も分かり ません。増える可能性だってあると思うし。 「先進国の民営化」というのはどこの国のことですか? 我々愚民にご教示いただけませんでしょうか? 米国、カナダは民営化されて良くなってのですよね? (匿名)

(編集者)
「民営化」すると、貧富の差が大きくなったり、貧乏人が切捨てになると 考えるのは、反対派が流すアジに国民が洗脳されてしまっているのですよ。 逆に、「民営化」成功例は国民には知らされていない。 ニュージーランドの失敗例だけは良く知っている。 情報がどこかで遮断されてしまっています。
先進国とは、G7の国の中でもアングロサクソンの国、 英国、カナダ、米国を頭においています。 これらの国は、「民間にできることは民間に」と政府の仕事を どんどん民間に移しています。英国が中でも進んでいて警察の仕事(駐車違反取締り)まで 民間にシフトしました。当初、色々問題がありましたが何とかうまくやっているようです。 PFI(Private Finance Initiative 民間資金起業)の考え方もその一つでしょう。 米国は規制緩和を徹してクリントン民主党の時代に、国家予算収支が黒字になりました。 カナダも、民営化を進めて政府の役所、省庁の数を3分1近く減らして ここでも国の収支を黒字化しました。 世界を見渡して、後進国ほど役人の数が多く、それだけ国家財政を圧迫、貧乏国になっています。 ここで言う役人の数とは、同じ仕事量に対する役人数のことです。


コラム

財閥企業の犯罪
今世紀末まで生き残れるか


 何十年も家計を切り詰め無理をしながら 生命保険の保険料せっせと払い続けてきた人が、死亡して保険金の支払いを 求めたら、そのときになって契約違反があったから払えないと言われたらどうします。 これほど残酷な悲劇はないでしょう。今まで保険料を黙って受けとっていたにもかかわらず 最後は保険金を払わない、これは言語道断の悪質な詐欺であり、 保険という契約商品のあり方の根幹をゆるがす非道な行為です。 長い年月の間、だまし続け保険料を徴収していた という点で、通常の詐欺犯罪よりも悪質です。

 この詐欺犯罪を遂行していたのは、やくざ企業でも泡沫企業でもなく、れっきとした 日本の代表的企業、明治生命なのだから驚きます。
現在は、安田生命と合併して明治安田生命に名前が変わっていますが、その旧明治生命 が今までやっていた詐欺行為です。

 この会社は保険金不払いを企業として組織的に長年やっていたようです。 保険金や給付金の不払いに対する客からの苦情をはねつけるための 従業員向けマニュアル(想定問答集「支払い関連Q&A」)まで作って、 社外秘扱いとして支社長ら現場責任者に配っていました。 どこか、「俺おれ詐欺」「振り込め詐欺」の集団に似ていませんか。

 この会社は、当然、違法と知りながら、この詐欺に相当する営業手法を企業利益追求 のために続けていたのです。 企業としてのモラルの一片も無い経営は厳しく批判されても仕方がありません。

 明治生命は、生保の中でも最大手の企業で三菱財閥の結束を誇示する金曜会、29社の 中核をしめる三菱グループの優等生でした。 その財閥企業が、極悪な詐欺企業だったとすると、財閥グループとは一体なんなのだろうか 首を傾げたくなります。

 近年、このほかにも30年以上も欠陥を隠し通してきた三菱自動車、長い間橋梁談合の 中核を勤めてきた三菱重工、三菱マテリヤル(三菱化成)と汚染した土地に 建物をたてて一般に売りつけようとした三菱地所、これらはすべて三菱金曜会の 中核メンバーです。表向きはともかくとして「金曜会」とはどんな会なのか、 そこでどんな話し合いが されていたのか、議事録でもあれば見たいものです。

 戦前から政府と密接な関係を保ちながら、 勢力を拡大してきた日本の財閥には、三菱のほかに三井、住友、安田などがありますが その中でも三菱、三井、住友は3大財閥と呼ばれて国民の間に 圧倒的な信頼を築いてきました。 ところが、この四半世紀に各財閥グループ内の中核企業(住友銀行、三井物産、NEC (住友)など) の不祥事や詐欺行為が次々にが発覚して財閥企業の倫理感が問い直されて 来ましたが、不思議なことにこのとき 三菱グループだけはほころびを見せません。だが、 ここに来て、三菱系の企業の不祥事が他の財閥企業を抜きん出て 次々に露呈され始めました。 まだまだ出てくるような気がします。なぜでしょう。

 三菱グループが、他の財閥グループと顕著な差がでるのは政界、官界との太いパイプを 擁していること。勿論、他の財閥グループも政界、官界の黒幕とは多かれ少なかれ つながりを持っていますが、三菱の場合はそれが特出しています。 また、マスコミ対策も実に巧妙に要所要所で鼻薬で穏便にことが運ぶように 気を配ってきました。勿論、政界に影響を与える御用学者にも気配りを欠かした ことはありません。 という訳で、今までほころびが出そうになると早めに手をうって来たので、 三菱グループの不祥事は 民衆の目に触れることは少なかったのです。

 経済界で三菱グループは「日本企業の鑑(かがみ)」とされてきたのも実はこの点です。 ではなぜ、最近になって次々と三菱グループの不祥事が出てきたかという といくつかの理由が考えられます。

そのひとつは、外国人が経営陣に加わったこと。三菱自動車の場合は、ダイムラークライスラー からヴィルフリート・ポート氏が社長に就任しました。 外国企業で企業倫理の考え方を学んでいるポート社長には、 欠陥隠しはどうしても容認できなかったこと でしょう。彼には日本的な経営ができなかったのかもしれません。

 もうひとつは、こちらが大きな要因と思われますが、小泉純一郎の首相就任です。 小泉さんが首相になってから、世の中が除々ではあるが変わり始めました。 彼はどんな贈り物でも突っ返すという変人・奇人的で潔白な人柄です。 「水、清ければ魚棲まず」(*)という日本的な風土とは全く正反対の人です。

 日本的な腹芸が尊ばれた歴代の自民党の総裁の 時代とは違って、小泉さんには鼻薬の効きが悪い。陰の総理大臣と呼ばれる派閥の長老や実力者 の影響力が効かなくなった。多額の金銭が動いた フィクサーとか黒幕が使えなくなった。待合でのヒソヒソ話やずっしり重い 封筒の受け渡しもできなくなった。 今まで、検察や警察の捜査に都度、口出ししていた官邸が干渉しなくなった。 などが遠因ではないかと考えられます。

 すなわち、日本の企業の鑑として他の企業グループから羨望の目で見られていた、 政、官界との太いパイプが機能しなくなったのです。

 旧運輸省(国土交通省)を始め日本の地方運輸局は、三菱自動車の欠陥の ことはとっくに知っていました。 しかし、三菱の政界・官界との関係を知って見てみない振りを していたのが現実でしょう。 死者まで出ていた三菱の車を見逃していたその当時の運輸省(現国土交通省)の行動は不思議に 見えますが、実は中央省庁の高官にも、たっぷり気配りが効いていたと考えるのが自然です。

 最近、国土交通省はまるで「騙された」とばかりに、大臣の怒りのコメントが報道されたり、 役所が指名業者からはずしたり、「悪いのは全て三菱」と言い出したのは、 この気配りがもはや小泉内閣には 効かなくなったということのあらわれです。

 一億円闇献金日歯事件では、橋本元総理が証人として東京地裁に出廷すること になりましたが、 もしこれが、小泉内閣ではなく橋本派から総理大臣が出ていたらこんな惨めなことには ならないし、鈴木宗雄によるムネオ・ハウス事件も表沙汰にならなかったでしょう。

 小泉さんは失政も多いが、この陰に隠れた功績も見落とすことはできません。 その潔癖な人柄はこれからの日本の若者に大いにプラスに働くはずです。  半世紀ちかく続いてきた裏政治献金という実質的な賄賂による政治、 今までの政治がどれだけこの賄賂で 虫ばまれてきたか、 国民には見えない舞台裏の政治が長く続きすぎました。 小泉さんの功績はこの腐敗したドロドロした政治 から一、二歩ぐらい抜け出したことです。 政治風土の浄化(清水化)がここでわずかに始まったように見えます。 また後戻りする可能性は十分にありますが。

 この前の戦争のとき、連合軍側は財閥が間接的に戦争を引き起こす原因 になったとして、戦後、巨大に膨張した財閥の整理に手をつけます。 明治維新以来、日本の産業は官主導で発展し、 官民一体となって帝国主義を推し進め、それが日韓併合、 満州国建国、日中戦争、さらには太平洋戦争に邁進します。 このとき、戦費をはじめ軍時物資、兵器製造 など陰で支えてきたのが財閥でした。

 戦後、マッカーサー率いるGHQはそれが軍国主義に繋がったとみて 財閥を解体し、経営者を戦犯として 処罰しました。 この財閥解体によって経済活動の自由度が増したおかげで経済が活性化し、 その後の高度経済成長へと繋がっていきます。 事実、日本の高度成長の牽引役は、財閥に属しない新興の企業、 ソニー、ホンダ、トヨタなど輸出産業が中心になって発展します。

 ところが一旦解体された財閥グループは、まもなく中国大陸に共産主義が台頭してそれに 対抗するため、GHQは経済民主化に逆行する財閥の復活を認めてしまいます。 解体させられた財閥は、すぐに再結集して戦前の財閥が復活してしまいました。 この前の戦争の影の立役者を演じた財閥が毛沢東のおかげで刑期半ばで放免 になったわけです。 それが現在の財閥につながっているわけですが、何度かの戦争で 甘い汁を吸ってきた企業体質と前科は残りました。

 一方、マッカーサーにしても現在の政府にしても、 統治側にしてみれば、 民間がいくつかの財閥の統制下にあれば、国全体の管理がしやすくなるという 利点があります。財閥は統治側に非常に都合の良いシステムなのです。 自己保身の強い役人は、当然統治しやすいシステムを固持します。国民の犠牲が出たとしても 自己の利便性を優先します。 その結果が三菱自動車の30年もの欠陥隠しを放置してきたと見ることもできます。

 ところで、財閥という排他的企業群はこれからの日本に必要かどうかここで 冷静に考えてみる 必要がありそうです。
 三菱にものを収める業者は、三菱の車でなくては納入できないとか、三菱グループの社員は、 麒麟麦酒しか飲まないとか、巷では言われていますが、 財閥とは一体なんでしょうか。

 財閥とは、独占的資本家・企業家のグループで日本特有の一族・一門から成る閨閥を中心に 集まった排他的企業群、日本以外にはこれと同じシステムは見当たりません。
<日本が統治した時代の産物として韓国と台湾にも財閥は残っています>

 欧米の例を探してみても、 この閨閥を中心に集まった集中度の高い排他的な経済形態は過去に例がないので、 比較が難しいのですが、敢えて言えば 11、12世紀ごろのヨーロッパを中心に発展した同業者組合 ギルドの初期の形態に似ています。 ギルドは、同じ職業の業者が集まり結束して新規の参入を妨害して、グループ内の 利益を優先する排他的な組合でした。 後に勢力を拡大して地方政府と結びつきジェノア(Genoa)やフローレンツ(Florence)など 都市運営までするようになり、欧州の各都市に広がっていきます。 時がたつにつれ、この組織は極端に硬直化し、17世紀ごろから衰退し始め、18,19世紀ごろ 消滅していきます。フランスでは、フランス革命の時消滅しました。

 もうひとつは、お隣の国、韓国の例です。 1997年、タイのバーツの切り下げに端を発したアジア通貨危機のとき、 韓国財閥の起亜グループの中枢に ある起亜自動車が破綻しました。前後して、中小の財閥の破綻が続きます。 過去に経験したことのない通貨の動揺に直面し、 金融危機に陥ります。韓国はIMF(国際通貨基金) へ支援を要請し、IMF支援プログラムに基づき再建することになります。 そこで、IMFが行ったのは、

  • 再生不可能な銀行を清算、銀行の合併、売却
  • 財閥の改革解体:財務の透明性、独立した外部監査制
  • コーポレート・ガバナンス(企業統治)の確立

    などでした。この改革によって韓国の財閥グループは解体され、単独企業として 再生されました。

    この二つの例では、衰退消滅した過程は異なるものの原因は似ています。 それは、排他的経営と独占的商慣行の甘い蜜の中にどっぷりつかりすぎてしまったこと。 これと同じ環境にあるのが、中央、地方の役所、役人です。世に言うビューロクラシー、 この社会は、税金が収入源ですから破綻することはありませんが。

     三菱自動車のリコール隠しの投書の中に「三菱グループは横柄」 「彼らの顔つきを、よくご覧になってください。 いかにも横柄な、われわれは偉いんだと、いわんばかりの顔つきです」なんていうのが 沢山あります。 これは、彼らが役人と同じような思想「官尊民卑」をもってしまった現われでしょう。 官公庁の仕事が大半の財閥系の企業では、このような危険性が入り込んできます。 大蔵省(現財務省)のご機嫌ばかり気にしていた銀行が破綻したり消滅していった理由が ギルドや韓国の例からも容易に理解できます。

     わが国の財閥もいずれこの道を歩んでいくような予感がします。 明治維新以後、重要な役割を果たしてきた財閥は、もうそろそろその役割は終わりに近づいて いるように思えます。 1000兆円に近い借金を抱えた今の日本では、 国の財力を糧にするケインズ(**)の時代は過ぎました。

     財閥企業の犯罪を防ぐには、徹底したコーポレート・ガバナンス(企業統治)と コンプライアンス(法遵守)、 外部監査体制、それともっとも大事な企業倫理の確立が迫られています。 これらと平行して、 独占禁止法の厳しい運用も必要でしょう。 それよりもなによりも、ここまで失った信用を取り戻せるかどうか、 国民の目は一層厳しくなります。

     今世紀は、中国の経済社会に於けるプレゼンスがますます拡大していき、 その厳しい環境の中で、日本の財閥企業はいままで通りの内向きな、排他的ビジネス を続けていたら、今世紀末まで生き残れるかどうか疑問です。

     小泉首相になってから、雲間から漏れてくる太陽の日差しが少しずつ強くなってきたような 気がします。小泉さんがいなくなったらまた元に戻らないようにみんなで厳しく見守って 行きましょう。

     〔欧米に、日本の財閥グループのような巨大な独占的、排他的企業群が存在しないのは、 反トラスト法という厳しい法律が存在するのと国民の厳しい監視があるからです〕
    (2005/8/1 JCNCC)


    注1 (*)
    「水、清ければ魚棲まず」とはあまり水がきれいで透き通っていると 隠れる場所がないので、魚も住むことができないの意。(田沼意次の賄賂政治を皮肉った諺)

    注2 (**)
     ケインズ (John Maynard Keynes):1883〜1946.イギリスが生んだ20世紀最大の経済学者。 完全雇用達成に果たす政府投資の役割を強調、 自由放任主義の経済にかわって政府による経済への積極的介入を主張、 修正資本主義の理論を展開して今日の経済政策に大きな影響を与えた。

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  • コラム

    子供の虐待死
    母親110番を創ったら


    「家賃滞納のマンションで母子2人が餓死かーさいたま市」
    これは、今年の初めに起こった事件である。
    物の豊富な21世紀のこの時代に、こんな餓死事件が毎年起きている。 2,3年前にこの欄でも取り上げたが、今回も 弱いものが犠牲になる餓死事件であった。

    私が記憶しているだけでも、「身体障害の妹を抱えた姉妹の餓死事件」「知能が遅れた 息子を抱えた母子家庭の親子餓死事件」など、聞いただけでいたたまれなくなるような 可愛そうな事件が日本では頻繁に起きる。福祉政策の充実した欧米では考えられないことだ。 こんな事件が起こるたびに、ここまで追い込んだまわりの人達は、民生委員や 役所は何をしていたのだろうか、と疑問になると同時に怒りがこみ上げてくる。 大体、事件の後にマスコミに騒がれて、周りの人や役所の言い分は決まっている。 「この家族は、近所づき合いがなく全くわからなかった」
    「再三、生活相談に行ったが断られたので、どうしようもなかった」
    なる決まり文句が載る。

    しかし、多くの場合は、関係機関の当事者は事前に事態を把握しているのである。 それについては後で述べる。 すなわち、われわれは心暖かい国民のように考えているが本当はそうではない。 個人個人が逆の事態に遭遇するといやと言うほどわかる。 窓際族という蔑称もそのひとつ。今まで仲良く付き合っていた人たちが、急に離れていく。 これは、全体主義の社会においては社会からはみ出したものは見捨てられていく 運命にあることを意味している。ある点で村八分と共通している。

    最近、警察庁が子供の虐待死に対して調査を行った結果が発表された。それによると、 昨年1年間に虐待を受けた18歳未満の子どもが死亡した事件は49件、 そのうち12件は児童相談所や警察などの関係機関が事件前に虐待の事実や情報を把握 していた。関係機関が一時保護や警察への通報など 必要な措置を取っていれば助かった可能性もある。

     49件のうち、関係機関が事前情報を把握していたとみられる12件すべてで、 児童相談所が何らかの形でかかわっていた。ほかに自治体の福祉事務所、病院、 保健所も各7件、警察は4件で把握していた。 関係機関や周囲の人達が温かい心でもう少し踏み込んだ支援をしていれば死なずにすんだはずだ。

    前々回のこの欄でも書いたが「わが国は、人命尊重に関してはお寒い限り」なのである。 もちろん、日本で生活していてはそんなことは気がつかないが、 欧米の先進国に住んでみるとその違いが顕著にわかる。 日本では、人命が最優先されて考えられていない。 餓死事件についてはいまだに調査どころか統計すらない。 「子供虐待死」の調査も今回が初めてではないか。

    この欄で時々書いているように、わが国では個人主義なるものが未発達のために 国民一人一人の命の尊さが分からない。エイズ・ハンセン氏病の訴訟で 多くの非人道的な行為が明るみに出た。 ハンセン氏病患者の場合は、医者がまもなく生まれ来る赤子を腹を割いて引きずり出し ホルマリンにつけて殺した様子がもと患者の証言で明らかになった。 このコラムを通して一貫して指摘してきたのは、人間権に対する社会の無知である。 それゆえ、餓死事件、虐待死、 人身売買などみな同じ観点から論じてきた。

    国や役所や関係機関はそろそろ頭の中を入れ替えないと、今まで通り、 人権軽視政策を続けていると取り返しの付かないことになることはわかっているだろうか。

    先月、厚生労働省は2004年の人口動態統計を正式に発表した。 出生数は約111万1000人で、過去最低だった前年の112万4000人を さらに下回り、4年連続の減少。 少子化、晩婚、皆婚思想の崩壊。 若者・中年の自殺率は世界一、北米でも日本人の若者の練炭自殺は 大きく取り上げられて「腹切り」と同じように好奇の目が向けられている。 全体主義の中の個人として人の命が粗末に扱われすぎている。

    もう 2,3年もすると日本の人口は減り始める。 天然資源のない日本は、唯一の資源が人的資源だ。特に、これからの世代を引き継ぐ若者や 子供を大事に丁寧に育てて行くことをここで真剣に考えてみてはどうだろう。 このまま、何の手も打たなければ事態は一向に改善はされない。それどころか 最悪のシナリオ(働き手が減り国の借金は増え続け、長期金利が上がり、 借金の金利負担が増え、GDPが減少して税負担が増える) の下り坂を転がり落ちていく。

    社会的弱者が餓死して亡くなる。肉体的弱者が、両親や大人の暴力で殺されていく。 日本の社会には、弱者を救う知恵や手立てはないのだろうか? 社会福祉の遅れた国に甘んじて仕方がないとこのまま放置されては犠牲になった 人たちは浮かばれない。

    北米では身障者餓死事件は聞いたことがないが幼児虐待はある。 ただ、幼児虐待死は、私に知る限りではない。 その理由のひとつは、子供に対する環境が日本と北米では違う。 まず、子供は社会共通の財産と考えている。わが国のように子供は、 個人の所有物ではない。 育てるのは親でも、その育て方に社会がいろいろ口出しする。 幼児をスーパーの駐車場の車の中で、両親が買い物の間、留守番させていた 日本人の若夫婦が幼児虐待で逮捕されたりすることがある。

    冬の寒いとき、日本人の若夫婦が幼児に手袋をさせずに外出して 通行人に注意されることもある。 ここで、日本から来た若夫婦は、「私たちの子供だから他人にとやかく口出 しされたくない」とむかつく人が多いがここではそれは通用しない。

    この社会では子供は親の私有財産ではない。その社会の財産なのだ。 ここら辺の社会的背景が違う。人口減少に悩む先進国の共通した考え方なのだ。 とは言っても、子供を育てるのは並大抵のことではない。 その苦労は、直接親がすることになる。 子供はわがままだ。 食べ物が入ったお皿をひっくりかす、大事な書類を破ってしまう、排泄をところ構わず 垂れ流す、TVのリモコンを壊してしまう・・・・など親にとっては気の休まるときはないし ストレスは増す一方、ついには堪忍袋がプッツン。 衝動的に手が飛び、やわらかい幼児の骨がボキッ・・・死にいたらしむケースだって。

    北米だったらどうしているのだろうか。その例を幼稚園前の幼児の例で説明しよう。 今、日本の各地で、子供110番があるが、これの母親110番版を作ることだ。 どんなことをするかといえば、いかめしい警察110番をもっと 身近なものにしたものと考えればよい。

    北米では、警察は夫婦喧嘩では呼べるが、子供のトラブルのときはむり。 そこで母親110番に電話すると、魔法使いのおばあさん(こども民生委員) の格好をした中年のおばさんが 黒いとんがり帽子に黒いマントを羽織ってやってくる。 初日は、親の育て方を聞いたり見たりして現状把握。次に子供から親を離して 子供が親に甘えても絶対無視するようにすべて魔法使いのおばさんが仲介する ようにする。

    2日目からは、子供のしつけを魔法使いのおばさんがやる。両親を子供から離して 子供の行動を親はTVカメラでだけで監視する。 子供は、魔法使いが好きだからその格好をしたおばさんの言うことに意外とよく従うが 魔法使いのおばさんが厳しいしつけを強いると、母親の元に逃げ出そうとする。 ここが大事なところだが、このとき母親は頑として子供の言うことを拒絶することだ。 ここで、母親が子供可愛さのあまり、魔法使いのおばさんを敵に回してしまうと この試みは一巻の終わりとなる。 魔法使いのおばさんは、毎日子供が起きる頃には来て子供が寝る頃には帰る。長いときは 1週間も通ってくることもある。

    この方法は、実にすばらしいと思う。昔は、この魔法使いのおばさんの役目を、祖母や祖父 がやっていた。この家族構成が壊れた今、子供を育てるにはこの魔法使いの おばさんがいないと子供は、親の暴力におびえて育ち、 学校に行くようになればいじめにはしり、 暗い幼年期の思い出が成人になってからも心の傷となって一生消えないことになる。 極端な場合は、子供が親を殺し、親が子供を殺す悲惨な事件に発展する。

    この「母親110番」のもうひとつの利点は、祖父母の手では孫可愛さから 甘やかしてしまうことが往々に ある。反対に厳しいしつけを孫に強いると、母親(嫁)は自分の子供を苛めているような錯覚を 起こして、しゅうと小姑の関係が悪化したりする。魔法使いのおばさんならこの問題がない。

    欧米の社会は、家族が中心になった「家族愛」なるものがあって、映画に行くにも 旅行に行くにも、何をするにも家族全体で行動する。日本のように親は親、子供は子供で 行動するようなことは非常に少ない。

    わが国にも魔法使いのおばさんがやってくる「母親110番」を創ったらどうだろう。
    (2005/7/1 JCNCC)

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    コラム

    警察は自身を公平に立件できるか
    三つ巴型システムを導入せよ


    次の記事を読んで不思議な感覚にとらわれませんか?

    「北海道警・前課長を書類送検、裏金事件で初の立件  北海道警の裏金問題で、道警は30日、会計検査院の検査に偽造した領収書を 示すなどした北見方面本部の前警備課長畠山伸一容疑者(54) (現道警本部警務部管理官)を偽計業務妨害の疑いで札幌地検に書類送検した」 (2005年5月30日 読売新聞)

    もともとこの事件は北海道警が組織的に長期にわたって やっていた犯罪です。納税者の金を出入り業者に水増し 請求させて、プールした裏金を個人的な飲食や残業代にしていた。 もちろんこの事件は、北海道警にとどまらず 全国、ほとんどの県警、役所で行われていた模様で、北海道警の件は その氷山の一角と見ています。

    さて、はじめに提起した「不思議な感覚」とは、 北海道警の組織的な犯罪を北海道警自身が 『御用』としている点です。 証拠隠滅の恐れがあれば、道警は道警の建物に入って家宅捜査をすることになります。
    簡単に言えば、泥棒が泥棒を取り締まっているのです。 もちろん、世論を誤魔化す為に個人、畠山伸一を容疑者に仕立てていますが 、こんな茶番はわれわれには通用しません。

    この問題は、勿論、道警が悪いには決まっていますがこのような事件は、日本に限らず 他国でも起こりうることです。 問題は、道警や県警の組織ぐるみ、構造的な犯罪を取り締まるシステムが日本には存在 しないことなのです。 4,5年前に神奈川県警(隠匿事件)、兵庫県警(明石陸橋事件) などで県警の組織が問われる事件が発生したときに この欄(レターtoエディター)で論じ警告したところをもう一度読んでみます。

    ≪日本には、世界に誇れるシステムがある。それは、何だろうか。 それはジャンケン三つ巴の勝敗システムです。このシステムは、 日本以外の世界にはない。古来の日本人(庶民だろう)が考え出した 絶対勝者もないし絶対敗者も無い、平等なシステムで、 後の欧米の三権分立にも通じる公平なシステムなのです。

     このシステムを、現在、ピラミッド型をした官僚システムに 導入すれば今の弊害は解消される。最高権力者ですら 第三者に監視されるシステムを作ればよい。すなわち、 当事者と第三者を含めた巴型をつくり、お互いに監視、 助言する権力監視システムが今の日本を救うだろう。≫

    ここで、「最高権力者」を「道警」と読み替えてみるとそのままあてはまります。 日本には、地方警察(道・府・県警)の犯罪を実質的に監視する組織がない。 警察庁というのが表向きありますが 実質的には機能していない。それは、長年このような犯罪が日本全国の警察でおきていたのに 放置されたままだったことからも察することができます。

    北米の場合はどうか。カナダの場合は、RCMPという全国に跨る警察組織があります。 最近出版された「セントローレンス河の十字塔」(文芸社)にその恐ろしいほどの活動が 紹介されていますが、実際に地方警察とRCMPは独立した関係にあって地方警察の縄張りの中に どんどん入り込んで地方警察の犯罪や個別の事件を取り締まります。

    米国では、有名なFBIがその役割をしています。FBIについては、多くの文献や映画で 紹介されていますからその説明は省きますが、この重要な組織が日本にはないのです。 神奈川県警の場合は、最高責任者の本部長がウソにウソを上塗りするような 記者会見をおこなったり、明石陸橋圧死事件では、公道の警備管理は当然県警の責任範囲であるのに 警備をしなかったり、事故を警備会社のせいにしたり、目に余る組織保身や 横着(怠慢)行為が次々に起きています。 日本にも警察の腐敗や犯罪を監視する、米国のFBIに似た組織を創設するべきです。 今回の北海道警が元課長を書類送検、裏金事件で立件したところで事は解決しないだろうとは 誰も思っています。

    現在の欠陥システムでは、警察の犯罪は簡単になくならないでしょう。同じような 犯罪は定期的に繰り返されます。 それどころかますます奥深く沈み込んで悪質になるでしょう。 速急にジャンケン三つ巴型システムをつくり、 お互いに監視、助言する権力監視システムが今の日本には必要です。 だが、戦時中の「特高(特別高等警察)」みたいな暴走する組織にならないように、 国民(議会)に十分な抑止力を持たせ、 国民の監視が届くシステムにすることが大事です。
    (2005/6/1 JCNCC)


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    《ご意見 1》
    徳川家康の全国統一から薩長連合による倒幕まで270年間、 お上の権力に逆らったものは皆殺しにされました。 天草四郎も大塩平八郎も。しかし彼らは勇敢でしたね。 大塩平八郎が謀反を起こした原因も、今の検察、検察がやっているのと同じ、 まさしく幕府の役人の裏金問題でした。 日本にもこんな勇敢な人物がいたんですよ。(匿名)

    《ご意見 2》
    検察や警察は、自分たちが総理大臣でも逮捕できるという自負というか特権意識が あるから絶対に自分たちを監視する組織などは組織的につぶしてくるだろう。 いつも自分たちが権力の頂点に居たいから。 この間違った特権意識が、業務上横領、詐欺、虚偽公文書作成、同行使等の犯罪 を助長している。 日本にも警察の腐敗や犯罪を監視する、米国のFBIに似た組織を手遅れになる 前に創るべきです。(匿名)

    《ご意見 3》
    捜査費を全額裏金化したあとのことは、オンブズマンの調べによると、 国民の血税は検察・警察官内部 で飲み食いする時に使ったり、幹部の餞別、各県警本部や検察・警察庁幹部への 上納に充てられているらしいのです。勿論うわさですが。情報公開をかたくなに 拒否しているため真相は闇の中。真相を知るには、警察・検察組織を家宅捜査 して証拠を入手しなければなりませんが、ところで誰が家宅捜査しますか。 わが国には警察・検察組織を家宅捜査できる権限を持った組織がない。 明治以降、政府が意図的に作らなかったのです。 (会計監査院ですら捜査上の機密を楯に裏金捜査をさせません)(匿名)

    《ご意見 4》
    警察や検察を話題にするのは、誉めるにつけ、けなすにつけ勇気が要ります。 彼らは、犯罪に関係なくとも、すべての国民の個人情報を入手できる 手段を持っていますから。 この恐ろしい特権が市民を黙らせてしまう、すなわち、彼らの組織犯罪を 抑制するものがいないから、ますます彼らの犯罪を助長させてしまうのです。(匿名)


    コラム

    JRの事故は首都圏でも起るか
    事故の解明は徹底的に−JRに公開質問状


    1987年4月に 日本国有鉄道の分割民営化が実施されて以来、大阪(尼崎)で 100人以上の犠牲者がでる大事故が発生した。若い人が多い、誠にお気の毒なことだ。 このような事故が首都圏で起こってもおかしくない。多分、いつかまたおきるかも知れない。 それは今回の事故原因をどこまで深く、広く解明するかによる。

    1872年 新橋(現汐留)横浜(現桜木町)間の開通以来、 西欧に追いつけ追い越せのもとに、先進国の技術の模倣、習得が最優先されてきた。 それ故、人命軽視の思想が関係者の間で根深く浸透している。 その歴史を国鉄から引き継いだJRは、今でもその思想を変えていない。

    今回の事故は、今までのJRの断片的な現状報告や事故現場の航空写真を見ると、高速で走っている電車が、 カーブの手前で急ブレーキをかけたのが原因だ。北米でも1970年代に同じような事故が起きていて、それとよく似ている。

    高速で走っている自動車が、カーブの手前で急ブレーキをかけると、 車が滑り出し、慣性でまっすぐ前に飛び出すか、車体を大きく外にふってしまう。 鉄道の場合は、左右両車輪の内側にフランジという鍔(つば)があるが、 回転しているときは軌道から外れないように軌道の上で回転しながら軌道内に留まる。 だが、電車のように慣性の大きな質量の物体では、車輪に機械的な急ブレーキがかかると まっすぐに進もうとする慣性力の方がはるかに 多きいため、カーブでは線路を跳び越してしまう。直線軌道でこの現象が、 起きても脱軌道することはカーブのときより少ない。 この慣性による飛び出しは、遠心力によって外側に車体が倒れる前 に発生する。もし、遠心力だけによる脱線ならば、カーブをもう少し入ったところ(前方)、 すなわち遠心力が発生した後に転倒脱線する。 最近、軌道車のブレーキにも、車と同じようにアンチ・ロックシステムが採用されて きているが、今回のJRの車両ではこの制御方式が採用されていなかった。
    今回の事故車両は、ATS-SW という一番古い列車制御システムだったようだ。 (最新はATCシステムが標準装備)

    それにしても、事故調査委員会(事故調)や県警の中間報告を何回読んでも判らないことが多すぎる。 ひとつは、事故を起こしたあの尼崎のカーブ(300R)の設計上の脱線限界速度は いくらなのか。 制限速度は、70KM/hと発表されているが、事故直後の段階で、JR(技研) の専門家が脱線限界速度は133KM/hといっていた。 事故を起こした電車の性能(207系) ではとても133KM/hの速度は出ない。実際に出ていなかった。 もし、この脱線限界速度は133KM/hが正しいとするなら、脱線原因は、スピードではない。 その原因を徹底的に洗い出す必要がある。 あるいは、脱線限界速度はもっと低い数字だろうか。 残念ながら、正確なこの限界速度をわれわれ誰も知らないのだ。

    では、制限速度70KM/hに対する設計上のセーフティマージン(安全係数)はいくらなのか。 まさか、70KM/h を10KM/hでも超えると脱線する設計ではあるまい。 通常では、50−100%くらいの 安全マージンを考えて設計される。今回、この数字をJRはなぜ出さないのか。 もし、この限界速度の数字を運転手が知っておれば、今回、あのカーブで急ブレーキを かけないで、減速ブレーキだけで無事通過曲がれたはずである。

    この疑問に対して、JRは「事故の調査をさらにして見ないと判らない」と、常套句を連発しているが、 事故が起きる前に、軌道は敷設されていた筈だ。いくらの安全係数を考えて設計施工されたのか。 データを早く公開すべきだ。多分、事故を起こしてから計算しなおしているのだろう。

    二つ目は、カーブにかかったところで車体(ボデー)が外側に傾いて、 右内側の車輪が浮いたと報告されている。事故調の 委員から、「カーブで車体が左側に12度くらい傾いたから右側の車輪が浮いて脱線した」 と素人わかりのするような 説明をしていた。技術的なことは判らないマスコミは、そのまま鵜呑みにして記事にしている。 玩具(おもちゃ)の電車では、車輪が車体に直結している。その場合は、その通りだが、 現代の人が乗る電車は、車体(ボデー)とボギー(台車)の間には、ばねのような緩衝機構があり、 ボデーが傾いても車輪は軌道から浮かない。すなわち、台車の上にヤジロベェ(弥次郎兵衛)* 人形が乗っかっているような構造になっている。 では、車体が何度傾いたらボギー(台車) についていいる車輪が軌道から浮くのか。この数値が発表されていない。

    事故を起こした207系車両は、その緩衝機構が空気ばねのクッションではなかったか。 通常、数度から十数度、車体が傾いてもボギーは傾かず車輪は浮き上がらないで、車体は復元する。 平常運行でも、カーブでは車体は外側に数度傾いているはず。停車中の駅で乗客が乗降する際も 数度ボデーは傾くが、車輪は軌道から浮かない。脱線前に車体が10〜12度傾いたと報告されているが 、その程度なら車輪は浮き上がらないはずだ。 ここら辺の情報が出ないのは、何か理由があるのか。

    三つ目は、207系車両系のボデーの機械強度が誠に貧弱なこと。2両目は水飴のようにぺっちゃんこ。 重量を軽くするために横方向は対衝突構造になっていないとのことだが、 以前、横須賀線の事故も脱線した車両の横腹を対向電車が衝突して側面をえぐられて多くの人が亡くなられている。 横方向の強度を犠牲にしたのは、横から衝突された場合、人命を失っても仕方がないと JRは考えていたのだろうか。如何なる基準、規格で207系車両の強度は設計されているのか。

    自動車の世界では、横から衝突されることを考慮して欧米では厳しい安全基準が設定されている。 日本には以前、その基準すらなかった。そこで、トヨタやホンダは、特別に 海外に輸出する車の横のドアの中に 鉄骨を入れて補強しなくてはならなかった。その安全基準をパスしないと欧米では売ることが出来なかった。 その頃、国内を走っていた車は横から衝突されるとペッチャンコに押しつぶされて、死傷者が出ていたが 人命の安全は、二の次にされていた。わが国は、人命尊重に関してはお寒い限りだ。 その後、自動車の分野では日本でも欧米に習って、横方向の対衝撃に規格が設定された。

    前の太平洋戦争で日本の戦闘機は性能を上げるため使用する鉄板をできるだけ薄くした故に、 燃料タンクに弾があたるといとも簡単に引火自爆した。米国の元パイロットが、ゼロ戦は、 弾があたると花火のように自爆して面白いように落ちていったと話していたのを思い出す。 そのときも、パイロットの命は二の次にされていた。それが故に、戦争初期に掛け替えのない ベテランパイロットを多数失い、技能の未熟なパイロットまで操縦桿を握ることになる。

    戦後、航空機の製造を全面禁止されたわが国では、 旧国鉄技術研究所に、多くの戦時中に航空機の設計をやっていた連中が集まった。 今、その連中は定年で退職したが、 彼らの人命軽視の思想は、ずっと引き継がれ、機能ー営利優先の思想がJRにのこっている。 昨今の新聞で、JRは「これから人命を最優先する方針に転換したい」といっている。今までは、 人命は二の次だったということを公に表したようなものだ。

    少し、専門的な議論になってしまったが、北米では航空機事故、スペースシャトルの事故、 列車事故などがあると普通の人までこの程度の議論をする。その裏側には、何でも隠そうとする秘密 主義の日本の当事者と、欧米では再発防止の観点から公開を原則として 徹底的な調査を期待する国民の関心度の違いがある。 事故調査委員の中には、データを隠すことによって、あるいは非公開にすることが 事故調の調査が支障なく、はかどると考えている向きがある。そこには、今回の事故の 調査報告書を形式的なもので片付けたいとする意図が見え隠れする。 ここで、事故調査委員はもう少し重大性を察して同じような事故が国内で、あるいは世界中で 再発しないように事故原因を、公開で国内外の知恵を借りて徹底的に解明してもらいたい。

    今回の事故調の報告書がどこまで事故原因を解明し、細部にわたって触れるかは疑問だが、 今まで事故報告書には「今回の事故は複合的な原因が相互に作用しあって起きた」なる 結論が頻繁に使われている。これは、事故の原因を本質的に曖昧にして将来の事故防止には あまり役立たない。もし複合的に多様な原因が絡み合っていたならば、 当然、その原因一つ一つを解明指摘しなくてはならない。 欧米の事故調査はそこまでやるのが普通である。

    来年(2006)モントリオールで、鉄道の世界会議(WCRR)がある。今回のJR事故に当然関心が 集まるだろうが、日本は世界会議で堂々と逃げない議論をしてもらいたいものだ。
    (2005/5/22 JCNCC)


    (*注)やじろべえ(弥次郎兵衛)
    振分け荷物を肩にした弥次郎兵衛の人形を用いた 玩具の一つ。短い立棒に湾曲した細長い横棒を付け、その両端に重しを取り付けたもの。 指先などで立棒を支えると、釣合をとって倒れない。

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    コラム

    戦後60年を迎えてもくすぶる火種
    昭和天皇は退位された方がよかったか


    先頃、民主党の元幹部がTV番組、中韓両国の日本の歴史認識に関連した問題で、 昭和天皇の戦争責任にふれ、「少なくとも(終戦時に)天皇は退位された方がよかった。 天皇に直接的責任はないが、象徴的にはある」と述べていた。

    この問題は、戦後長い間タブーとされ誰もあまり口に出したがらないテーマだ。 ときどき、左翼系の有名人が口にしたのを聞いたことがあるが、 そのまま、議論もされずに日々のニュースの中に埋没し、ディベートとなって広がっていかなかった。

    その原因は、天皇崇拝者からの激しい反発と 戦前教育を受けた高齢の人たちの存在、極度に皇室との関係を気遣うマスコミなどが あげられる。 また、戦前教育を受けた昔の考え方の国民から白い目で見られるような雰囲気が、 議論すらできない無言の圧力ともなっている。

    英国では、皇室の問題をマスコミをはじめ、国民が身近な問題として堂々と議論する。 最近では、チャールス皇太子の再婚相手について、国民が非常に関心を持って賛否両論を戦わしていた。 わが国では、お世継ぎ問題として皇太子の「人格発言」があったが、その議論も いつの間にか消えてしまったようだ。

    余談になるが、昨年、日本に帰国した折に学生時代の友人4人と会って そのお世継ぎ問題を議論したとき のことだが、 驚いたのは、彼らが皇室問題では正確な知識を持ち合わせていないことだった。 例えば、「このままでは皇室典範を改正して、 女帝天皇を容認することになるのだろうか」という質問に 友人の一人が自信ありげに「そんな心配はいらない。その場合は、 だれだれにもう決まっているから」と天皇家の 外縁にあたる宮家のご子息の 名前を挙げた。その場にいたほかの友人もそう思っていた様子で、異論は出なかった。 反論しようと思ったがここで議論をあきらめた。彼らだけがたまたま知らなかったと 考えることはできない、国民の多くは同じように無知なのだ。
    生まれてずっと日本に住んでいる人たちが、皇室のことを正確に知 らされていないのではないか。あるいは知る機会が少ないのだろう。 海外にいる者の方がよっぽど情報通だった。 友人たちは、皆、高学歴のインテリでとおってきている都会人なのに。 もっともこれは、「人格発言」のすぐ後の話で、現在とは多少事情が違うとは思うが、 それにしても 皇室に関する情報量の段差には驚いた。世間の多くの人が今のままでは皇室典範を 改正しなくてはならないこと など知らないのではないか。

    日本のマスコミはもう少し正面から皇室問題を自由に取り上げても良かろう。 いまの宮内庁の情報統制も厳しすぎる。
    それとも、戦前の天皇を現人神アラヒトガミとした国家神道の思想に対する国全体の アレルギー現象 なのだろうか。

    いずれにせよ、今回の発言は民社党幹部としては当然のことを繰り返したに過ぎないが、 社民党や共産党と違って 民主党の元代表が周辺諸国の反日感情が悪化しつつあるこの時期に発言したのは 興味深いところだ。

    昭和天皇が、占領下でマッカーサに対面したときの記録がアメリカ側に残っているが、その中で 昭和天皇は「私に全責任がある」とお述べになっている。 この発言が真実だとすると、ご自身の退位かそれ以上のご覚悟があってなさったと 思われる。

    この前の戦争は、連合国と独伊日の三国枢軸の戦争だった。 連合国側の世界では、対ヒトラー、対ムッソリーニ、対ヒロヒトとの全面戦争と見て、 この三者が、戦争を起こした張本人と見ていた。 だが、この戦争が終わる頃ヒトラーは自殺、ムッソリーニはパルチザンに殺害された。 ところが日本ではその後もヒロヒト天皇が日本を統治している。 外の世界から見ると、これは大きな疑問だ。 世界の目は単純だ。彼らの目から見ると、 ヒトラーが戦後のドイツを統治しているのと同じなのだ

    実際はヒロヒトが戦争を始めたのではなく、その取り巻きが天皇を担ぎ出して 戦争を始めたのかもしれない。あるいは、戦後の日本では天皇は統治などしていない。 象徴として存在しているだけだと言うだろう。 しかし、世界の目はそうは見ていない。 これは、戦後、日本がそのあたりのPRを対外的に ほとんどやってこなかったからでもある。

    特に隣国の厳しい目を、お金で解決しようと無償経済援助と称し、 何兆円にものぼる国民の税金を 示談金としてこれで勘弁してくれとせっせと差し出してきた。 しかし、昨今の中国、韓国の反日感情やデモを見ると、そのお金が全く 機能していなかったことがわかる。

    やはり日本国のけじめとして終戦時に「天皇は退位」された方がよかったのではなかったか。 戦後、続々と元戦犯が政治に復帰して総理大臣にまでなった。 隣国から見ていると日本は、前の戦争の 反省をおろか、なし崩し的に昔の日本に戻っているのではないか と疑問を持つのが自然かもしれない。

    ここ数年、毎週のごとく有名企業のトップが数人でテレビカメラの前にせいれつして 「このたびは皆様に多大な ご迷惑をおかけして、申し訳ないことをしました。深く反省してお詫び申し上げます」という儀式が 年間行事のようにずっと続いている。しかし、その後も企業の体質は全く改善されていない。 責任者は、そのまま居座ったり肩書きだけ変えて企業支配続けていることが少なくない。 この光景を見る海外の目は冷ややかで、日本人の謝罪とは口先だけで ペコちゃん人形のリップサービス くらいにしかとっていない。

    元村山首相の村山メモを何度小泉首相が海外に出かけて繰り返しても、 日本人を知っている隣国の人たちは、 全く信用していないのが現状だ。

    ザクザクお金を渡しても、お金をもらったひとは黙るかもしれないがそれ以外の大衆を 説得することはできない。ここら辺で、何らかのシンボリックな 見える形で日本は謝罪を表すべきだろう。

    昭和天皇の退位という絶好の謝罪とけじめの機会を逸した現在、ではどうすればいいか。 これは、国民全体でじっくり考える ところに来ている。 ひとつのヒントとしては、昨今のドイツの例が参考になる。 国費約37億円をかけて、戦後60年を迎えたドイツの首都ベルリンに、ナチス・ドイツの残虐さと ユダヤ人犠牲者の苦悩を伝えるモニュメントがつくられたそうだ。

    (2005/5/10 JCNCC)

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    アジアの覇権と反日デモ
    アジアにおけるスーパーパワーの衝突


     日本の歴史教科書問題や、靖国神社参拝に反対するデモが中国各地に広がり、大陸の方は このところ騒然としている。 中国にある日本大使館や領事館、日本企業に石を投げられ上海の 日本料理店では暴徒が踏み込んできて略奪が行われた。 このニュースは新聞や、TVで見たとおりであまり議論をする必要もない。

     論じたいのは、どうして、なぜいまごろ、このタイミングで始まったかだ。 大の中国嫌いの石原慎太郎東京都知事は、日頃、中国政府に不満を持った民衆 のガス抜きだといっているが、 それでは「なぜこの時期に?」石原氏はどう解釈しているのだろうか。 専門家や政府筋もこの疑問を掘り下げていない。いや、そこまで深く考える余裕がないのかもしれない。

     外務大臣が北京に行って、外交交渉の席で、中国外交局長に中国国内の反日教育をただした。 政府筋や国民は、小泉さんの靖国参拝が遠因していると考えている。 「やはり、A級戦犯の御霊は別のところに」 などの意見がちらほら出始めた。
     一方、「教科書はもう少し慎重に選定するべきだった」などの弱音を吐く人もいる。

    だが、今回の暴動の原因は、そんなところにはない。日本のマスコミ各紙を眺めてみても 誰も、どこにも、「なぜこの時期に?」の疑問に対する的を射た論調がない。 日本では、政治ニュースの分析力が抜群に高いと評価されている、 ニュース・キャスターのコメントの中にもその答えはなかった。

     もう一年以上も前になるが、中国の高官が「半世紀後はアメリカと中国の国境はハワイ沖」と 言っていたのを思い出す。 中国は、政治的にも経済的にもアジアの覇権を考えいる。その過程で大きな障害になるのは、 日本だ。この国を如何にして追い落とすかを日頃から真剣に研究している。 それには、日本が国連で中国と並ぶ同格の常任理事国の地位を確保すると中国の アジア覇権の障害になる。

     現体制では日本が国際社会で何をしようとしても、拒否権を持つ中国は日本の野望を潰すことができる。 逆に、日本が何を言おうとも拒否権もない国の言い分は聞き流せばいい。

     日本が国連で常任理事国になると一番困るのは中国だ。このアジアに二つのスーパーパワーは要らない。 ところが、今回の国連改革で、日本が常任理事国に入りそうな雲行きになってきた。 中国で反日暴動が始まる、1,2週間前から中国当局は盛んに、日本の国連理事国入り反対の声明を 出していた。 しかし、世界の趨勢は中国と反対に動いていた。最近、日本を訪問したフランスの シラク大統領は「日本の常任理事国入りに反対する理由はない」と述べた。

     そこで、中国政府は世界に第二次大戦中の日本軍の残虐性をアピールするための官製のデモを企てた。 その意図がうまく当った。日頃、中国政府に不満を持った中国各地の民衆が同調して見る見るうちに 広がった。

     この騒ぎに世界のマスコミが当然、とびついた。 欧米のTVでは、第二次大戦中に日本軍が南京で中国民衆を銃剣で突き殺して歩く古い モノクロの残虐な記録映像を書庫から探し出してきて再びニュースで流す。 中国各地でデモや暴動が起きるたびに何回もこの映像が世界に流れる。 欧米の視聴者に、残虐日本人のイメージを植えつける。 日本の残虐性をアピールする宣伝効果は十分すぎるほどあがる。 こんな国を、国連の常任理事国にするのはトンデモナイと思わせる。 中国政府の思う壺だ。

     けれども、われわれは中国政府に利用されてはいないかと、 考える批判的なマスコミも出てきた。
     英国BBCは、『アジアにおけるスーパーパワーの指導権の衝突だ。中国の覇権争いが仕掛けたデモだ』
    同じ英国のサンデータイムズは、 『日本の常任理事国入りは問題がない』と中国をけん制した。
    米紙ワシントン・ポストは中国はアジアの指導権を握ろうとして日本を 『悪者に仕立てている』と書いた。

     日本の第二次大戦中の侵略をことさら強調するのは中国の都合の良い言い分で、 英国によるアヘン戦争による侵略は、なぜ論じないのか。 日本の教科書における過去の歴史認識が問題なら、「毛沢東の狂気の大躍進」 で起きた飢饉(ききん)で3000万人が犠牲に なったとされることや、 「1979年のベトナム侵攻」など、国民に知らせてから議論したらどうだろう。

     今回の騒ぎで、中国政府の思惑通りに世界の有能な一部のマスコミは踊らなかった、としても、 日本政府に一泡ふかせたことは間違いない。 一方、有能なマスコミが踊らなかったのとは裏腹に中国国内にくすぶっていた 民衆の不満に火がついてしまった。このままでは第二の天安門になる、 中国政府はこの騒ぎの思わぬサイド・エフェクトの沈静化に今必死だ。

    ところで、このとき日本国内の政治は郵政民営化問題で大騒ぎしていた。 「改革怠れば元経済大国に転落」郵政民営化担当、竹中経済財政相ひとり、日本の将来を憂え、 ボヤキとも聞こえる 不満をつぶやいていた。このままでは、間違いなく経済大国の座は中国に移ってしまう。 (2005/4/20 JCNCC)

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    《ご意見 1》
    中国は、チベットで100万人の人達(全人口の6分の1) を殺しておきながら 第二次世界大戦の時の日本の事をよく言えると思います。 南京では、10万人が虐殺されたと聞いています。確かに、中国にとって日本は( 戦争で占領されたからか)目障りだと思います。国をあげてその様な邪魔をするのが安っぽい!

    《ご意見 2》
    日本でも中国の覇権志向は有名ですし、反日デモは日本の常任理事国入り阻止の為の北京の煽動だと言うのが定説です。そして日本は、中国の覇権志向を抑止したい国際社会の思惑が、日本を常任理事国入りの方向で調整すると読んでいると思います。ですから冷静です。 あと南京事件の記録映像など存在し無いはずですが? 日本のネット世界ではこんな話もあります。物証があるのなら、是非日本の修正主義に一石を投じて欲しいものです。


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    日本的企業社会に黒船来襲
    敵対的買収への最善の対抗策は?


     無料プロバイダーから伸びてきた新参企業 ライブドアによるニッポン放送の株買占め、M&A(Merge and Acquisition  (企業の合併・買収)) 買収騒動。このところ、落ち着いてきたようにも見える。

    M&Aは、北米を中心とする西欧社会では、古くから行われてきたが、 特に、1990年代に盛んになった。 その波が、約10年以上遅れて日本に上陸する気配がこのライブドアによるニッポン放送の株買占め 事件だった。

    これに驚いたのは、長い間太平の眠りをむさぼっていた島国の中の旧態経営しか知らない企業の経営者 たちだ。 特にマスコミ、放送、TV、出版業界は、ソニーやトヨタのように輸出で海外の企業としのぎを削りながら 成長した 業界と違って外界の動きには疎い。ニュースや映像で海外のM&Aを取り上げていても、業界 自体はその実態は理解せずに 外電を翻訳して流していただけだ。
    これはまさに、江戸幕府の崩壊につながる黒船の来襲に類似している。 この動きに対して、幕府、今日の日本政府はすぐさま防衛策を打ち出した。

    例えば、会社法案の中の株式交換による企業買収を外国企業に解禁する 条項の実施が2007年まで1年先送りされた。
    いままで、銀行の企業間の持ち株解消のため頻繁に利用してきた株式の 時間外取引を規制強化する方向に動きだした。
    買収防止のためのポイズンピル(毒薬投入)の制度を導入する方法も考えている。
    そのほかにも、M&Aを防止するさまざまな法案を政府と自民党は打ち出した。

    すなわち、防波堤を高くして外資の経営支配が国内に入りにくくすることを真剣に考えている。 城中の動きが慌ただしくなった。「さあ、大変だ。どうしよう」「誰か、M&Aとか言うものに 詳しいものは居らんか?」「呼んで参れ!早く、早く、今すぐにだ」こんな声が永田町や経団連の 館(やかた)から聞こえてくる。その慌てようは傍から見ると滑稽だ。

    フジTV,ニッポン放送の経営陣のパニック状態の様子は連日報道され、いろいろ小知恵を絞って 新株指名割り当てや焦土作戦など小細工を次々に打ち出したが、新株割当増資は当事者の保身行為に 過ぎないとして下級、中級裁判所で執行差止め命令が出された。

    では、フジTV,ニッポン放送の経営陣には、このM&Aに対応できる 経営能力はないのか。あの、追い込まれた緊張した 表情を見ていると、 全く今まで考えてもいない状況ように追い込まれた様子しか見えない。 年功序列や派閥のおかげで経営陣の椅子に 座っていたとは、考えられないが、そうとしか思えないほど、 昼行燈的な経営戦略のない企業経営者の顔色が映しだされる。

    多分、日本人の考えている優秀な経営者とは、どれだけの収入を上げてどれだけ支出を削り、 どれだけ利益を上げるか 毎年目標値を設定して、それを達成するか数パーセントでもそれを超えれば、立派な経営だと思っている。 これは、経営戦略ではなく営利(経理)戦略である。若いころ、 厳しい受験勉強に洗脳され、数字合わせに追われた経験のある 企業経営者は、この営利戦略には強い。だが、敵対的買収を含めた新しい経営戦略となると滅法弱い。

    欧米では、新しい起業家が旧態企業の経営者に挑戦する騒動は日常茶飯事に行われている。 それが企業経営に競争力を与え、 経済の活性化につながることを企業家、政治家、役人、国民はしっている。 一方、島国日本の企業家、政治家、役人、国民はどうだろう。輸出企業の経営者以外は、この騒動に批判的な 意見を述べている。 フジTV,ニッポン放送で仕事をしているタレントやメジャーリーグで活躍しているスポーツ界の日本人 選手までも、買収工作には反対している。

    買収防止のための防波堤や、ポイズンピル(毒薬投入)の制度化は、海に囲まれた国内の 顧客だけを相手にしていた無能な経営者の地位保全の道具に使われるだけで、 長期的には企業価値を損なうとの経験則から、欧米では時代遅れになっている。

    敵対的買収への最善の対抗策は、長期な経営戦略と立派な企業倫理を確立して、株主に顔を見せた経営、 ひいては企業の価値や株式時価総額を高める努力を真っ先にやらねばならぬ。
    それからすると、今回フジTVがとったソフトバンクとの接近は、大きな疑問が残る。 (05/4/2 JCNCC)


    [解説] エムアンドエー M&A(合併・買収)
      企業の合併・買収。合併(Merger)、複数の会社が1つの会社に結合すること。 買収(Acquisition)とは、経営上の支配権の全部あるいは一部を取引により取得すること。 すなわち、企業同士を結合したり、他の会社を買い取ること。

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    「高徳」という精神論
    学校給食の給食費を払わない


     最近の毎日新聞のコメント欄にこんな記事があった。 昨今、学校給食の給食費を払わない子供たちがいる。家庭が経済的に困窮しているのかと思うと そうではない。裕福な家庭の子供たちだ。中には公務員の子弟もいるらしい。 学校から支払いを請求すると、「うちは払わない」と平然としている。 これでは、無銭飲食とおなじ食い逃げではないか。

    NHKの受信料不払いが広がっていくうちに、払わなくても電波はとどく、 「じゃ払うのをよそう」とおなじ考え方だ。

    しかし、 この二つの問題を同じに扱うと、話が混乱する。これは性質の異なる問題だろう。 この点は、毎日新聞のコメンテータもそう述べている。 NHKの受信料の支払い拒否は、NHKのいい加減なマネージメントに対する 抗議行動だろうし、あるいは視聴者の受信料で 経営をしているはずなのに、政府がNHK年度予算審査認可をするシステムに 疑問を感じた視聴者の抗議の不払いだからだ。

    こんな捻じ曲がったシステムが存続するために、最近、また慰安婦特別番組の内容改変 問題が出た。一私企業の新年度予算をなぜ政府の許可なしに決められないのか。 NHKは公共放送で、民放とは違うと関係者は口をそろえる。 だが待てよ、日本人にはこれで説得できるだろうが、海外の事情を知っている視聴者は そうは行かない。 北米にもPBS( Public Broadcasting System )という公共放送網がある。ここは視聴者から の受信料寄付でまかなっている。 NHKとは、格段の差がある高品質な番組を流す。NHKもPBSから相当なソフトを買って 使っているのは知っている。紅白みたいな視聴率目当ての番組はない。 だが、公共放送であってもPBSは政府の予算審査認可などはない。もし、政府がそんなことをしたら 視聴者が騒ぎ出すだろう。

    一方、NHKの幹部を官邸に呼びつけて番組の中止や改変を迫った政府の高官は、 公共放送の意味を国営放送と勘違いしていないか。あの人たちには憲法に保障されている「表現の自由」 などまったく理解できないのだろう。怖い人に脅されて、NHKの幹部を官邸に呼びつけた 彼らには「公共」(放送)の意味する公平中立、正義感はまったくなかった。
    事情を知ってみると、ソビエトのスターリン時代、KGBが勢力をふるっていた、暗い裏の世界 がまだ日本には残っていた。

    ところが、この2つの問題を少し冷静に考えてみると、全く性質が違ってはいるが 共通した問題があった。
    先の新聞論氏はこう結んでいる。「高徳」という言葉を持ち出して国民庶民が自ら徳を高める ことが必要だと説いている。 日本のマスコミ・有識者の結びは、百年一日のごとく最後は精神論で片付けているものが少なくない。 最も多いのは「国民一人一人の自覚に待ちたい」と書く。 この結び方は、国民、特にそれに抵触しそうな者には 歓迎される。この議論を裏返せば、「この問題も自分たちで 解決しなさい」といっているようなもの。 この議論は、日本人には非常に受ける。中世武士社会以来一貫してわが国ではこの方式がとられてきた。 腕力、悪知恵のあるものがのさばり、弱者、正直者が引っ込む。 野生の動物の社会がまさにそれだ。 そこは、弱肉強食の世界が定着している

    大分前に、「日本の人身売買、売春や強制労働」 について書いた。 その冒頭に「わが国には人身売買を罰したり防ぐための法律がない」と書いた。 今回の二つ問題、給食とNHK、とも不払いに対する罰則事項がないのだ。 それならば少し賢い親は、給食費など払わない。払わなくてすむならこんな いいことはない。

    日本には、これと似た例が何万とある。勘定したことがないが当然あるべき 法律がない。その場に出会って「エッ、ないっ?」驚くことがよくある。 法整備に遅れること百年、いまだに欧米先進国並みの法律が整っていないのだ。 法治国とは、表面だけのことで実際は他のアジアアフリカ諸国と同じレベルだと 世界が見ていることは、認識しておく必要がある。

    そうでなければ、アメリカの国務省が日本を、タイ、ベトナム、フィリピン、 パキスタン、インドなどと同じ集団の一国として人身売買議論しないだろう。 なぜ日本では法整備が進まないのか。

    その大きな理由は、日本では立法源が国会ではなく、行政すなわち政府立法が圧倒的に多い。 それは何を意味するかといえば、国民の側にたった法律よりも、国民を治めるのに都合の良い 法律ができてしまうため、法律が増えることには国民は歓迎しないのだ。 先進国並みに、国会が中心になって国民のための法律を議員立法でどんどん創って日本の法整備を進める ことが早急に必要である。

    因みに、北米では国会議員のことをローメイカー(法律を創る人)と呼ぶ。 日本では、なんて呼ぼう?前欄で取り上げた「ウソをつくことは泥棒の始まり」 国会議事堂は、元総理大臣以下、泥棒の親分子分集まるところなら 彼らはさしずめローブレーカーだらうか。 (05/3/10)

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    1億円ヤミ献金事件裁判の行方
    ウソは泥棒の始まり


     政治に関心のあるひとは、村岡兼造元官房長官が日本歯科医師会の 自民党旧橋本派への1億円ヤミ献金事件の裁判の行方に少なからず関心を抱いている。 この事件は、奇奇怪怪として誰が本当のことを言っているのかあるいはそうでないのか さっぱり、分からない。 村岡被告と橋本派幹部との言い分が正反対なのだ。

    「滝川氏の共犯として起訴されたことは全く心外」裁判長から起訴事実の認否を尋ねられると 村岡被告はこう答えた。その前から、村岡被告はこの事件については晴天のへきれきとマスコミの前で 繰り返し述べていた。 他方、橋本元総理大臣をはじめ橋本派幹部、青木氏、野中氏も同じようにまったく知らない、 われ関せずと繰りかえしていた。

    どちらかが、ウソをついていることだけは確か。「ウソをつくことは泥棒の始まり」国会議事堂の中を 泥棒の親分子分が 右往左往しているところとあれば、それは拘置所と変わらない。

    戦前の軍隊には、悪しき習慣が当然のように行われれていた。 全てがうまく行っているときは師団の手柄にして、失敗すると第一線の責任とした。 これは、その後の政界のなかでも汚職が発覚するたびに幾度となく続けられてきた。 これまで数々の汚職事件で、末端の者が責任を取らされたり 口封じに自殺に追い込まれている。所謂トカゲの尻尾きりが繰りかえされた。 誰かが消される。まったく身に覚えのないことで責任を取らされて。それで、一件落着する。 少し前に、元道路公団総裁が「私が口を開けば、死人が出る」といったのは、まさにこのことだ。

    橋本元総理、野中広務・元自民党幹事長以下派閥幹部は不起訴(起訴猶予)となった。 トカゲは尻尾を切り離し、胴体は 安全圏への逃げ込みが成功するだろうか。

    マスコミも世間の目もこのカラクリを知りながら、七十五日すると忘れてしまう。 このような習慣は、経済界や産業界でも続けられている。 うまくできた日本式システムだ。いたって成功率が高い。

    しかし、このシステムは、日本みたいに警察、検察組織を含めた司法システムの遅れた未成熟な ところでないと呼吸できないし、機能しない。 司法権が独立している、先進国では検察が権力者の圧力を徹底的に排除して捜査を始めるから、 尻尾を切って いくら逃げようとしても徹底的に追い詰め、ついには本体の犯罪を嗅ぎ付けてしまう。

    ニクソンのウオーターゲート事件が良い例だろう。最近では、クリントン元大統領の スキャンダルを独立検察官が徹底的に追っかけた。

    わが国と先進国とどこが違うのか。それは、担当組織の無能さと怠惰が主な要因だが、もうひとつは、 担当官の小利巧さも災いしている。
    「そんな事をすると将来出世しないぞ」
    上司から釘を刺されると 「やめておこう」と臆病神が顔を出す。

    「俺の将来はどうなってもいいから真実を突き止めたい」などと正義感を燃やす担当官など、日本ひろし と言えどもまずキャリア官僚の中にはいない。
    「女房、子供の顔が眼に浮かんでくると・・・」
    なんてありきたりの言い訳を自分に言い聞かせて思いとどめる。
    また、人一倍正義感に燃えて仕事に取り組むと、今度も上司から
    「おまえ、いつになったら大人になるんだ」
    と、子ども扱いにされ蔑視される。

    これでは、弱者生贄が繰り返され、日本は百年一日のごとく良くならない。しかし、この傾向は戦国時代、 信長の時代から続いていた。 いやもっと前からあったに違いない。この臆病体質は、日本人の遺伝子として神代の時代から引き継がれて きたものらしい。もっとさかのぼれば、和民族の源である中国人、朝鮮人にも共通している 同様な弱点である。

    近い将来、遺伝子解析が進めばこの傾向は、もっとはっきり解明されるだろう。現在でも、 日本人は、冒険心が西洋人に比べて劣っていることは、DNAの比較からすでにある程度分かっている。 人類学的に見てくると日本人の将来は真っ暗だが、 だが人為的に徐々にこの傾向を改善していく手はある。

    まず、具体的にどうすればよいか。それは、今の検察機構、司法を何者にも干渉されない 独立した人事、権限を確立して(今でも表向きはそうなっているが)、 同時に優秀な人材が 自由に活躍できる環境を確立する。
    多くの臆病現代人(別称:賢い日本人)が知っていて口にださない、 年功序列、学閥、派閥、人脈、コネの弊害を徹底的に排除して、有能な人材発掘システムつくりだす。

    前の戦争では、陸軍大学校の学閥が他大学出の優秀な人材を排除して、学閥参謀が 大手を振るい、ついには、わが国全体を戦禍に巻き込んだ。外地では多くの陸地戦で当然回避できる 兵力損失を無用に拡大させた。無能な学閥参謀が失敗しても閥の同族意識からくる強い防護本能、 失敗を隠し、それ故、責任を取らない。 その弊害からくる病巣が癌のように拡大して、やがてこの国を悲惨な 焦土と化してしまったことは誰もが知っているところ。

    年功序列、学閥、派閥、コネがなくならない限り、その時代にそこに存在する有能な英知の利用が効率的に されない。知って知らない振りをする、見てみない振りをする、何もしない、何も言わない。
    臆病神や怠慢精神がもっとも最善の処世術として、閥や年功序列のゆりかごの中で只ただ 蜩のように時を過ごすムードが職場に蔓延している限り村岡被告の裁判の真実は 明らかにならない。検察、裁判官、だれもが臆病神を払いのけて真剣になって真実を追求するべきだ。 今の検察司法組織では日本の現状は、まったく改善されない。

    これは、彼らに対する国民の願望だ。今度は本気でやってもらいたい。

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    ひとつの命を惜しみ慈しみ、大切に扱おう
    日本人の若人がイラクで人質(2)


    つい最近、日本人の若人がイラクで人質になった。 人質の命と日本の自衛隊の撤退が交換条件にされた。そして、無残に殺された。 ザルカウィ率いるグループの犯行の可能性が非常に高い。

    イラクで、外国人人質殺害事件が相次いでいるときに、またその人質が鋭いナイフで首を切り落とされている 映像を何回も、TVで見ているわれわれは、どうして彼はイラクに足を踏み入れてしまったのか、誰しも不思議に思う。

    彼は今年1月、ワーキングホリデービザでニュージーランドへ行った。そのあと、イスラエルに行き、ヨルダン経由で イラクに入った。ニュージーランドやイスラエルでは、イラクの人質のニュースは入らないのだろうか。 そんな筈はない。 それではなにが彼をイラクに向けさせたのだろうか。冒険心か、若気の至りか、それともアルカイダを甘く見たのだろうか。 一方、相手を甘く見ることは、大冒険を達成するひとつの隠れた条件でもある。

    賢者は冒険家にはなれない。それは、相手を知りすぎてしまうと、とても冒険などをする気になれないからだ。 計算高い秀才は「そんな冒険などするより、もっと楽な・・・」と考えてしまう。
    多くの冒険心が、この世を改革、発展させてきた。ジェンナーだって、フランクリン、コロンブスだって、マジェランだってそうだった。

    ここで、「なぜ危険なイラクにあえて行ったのか」と問いただすのはやめよう。 多くのマスコミや、大衆がこの問いを彼の親族に投げている。そんな愚問は衆愚の罵詈に任せておけばよい。 前に人質事件が発生したときも、親族バッシングが繰り返された。だが、よく考えてみると冒険を犯して イラクに行った橋田さんはじめボランティアの人たちの献身的勇気がどれだけ現地で日本人への信頼性を あげたことか評価してみるべきだ。この人たちの、こころ温まる人道的な行動が外交官の1000人にも値する 仕事をしていることを思いおこして見ると良い。

    それよりも今度の事件で、国の対応である。このプロセス(始末)は記憶しておく必要がありそうだ。

    まず、事件が発生してから、マスコミを通して彼の前歴を流した。すなわち彼の命の重さ(軽さ)はどの程度かを国民に知らしめた。 そして、その後は事務的に事を運ぼうとした。殺害される前に、それを待っていたかのように「殺害されたようだ」と記者会見し 家族にそう伝えた。 そのとき彼は、まだ生きていた。自衛隊を引き上げればまだ生還できる状況にあった。

    前にも、書いたことだが、この事件は 米国のイラク戦争に日本が追従、自衛隊がイラク派遣されたのが原因だ。
    自衛隊のイラク駐留が国内外の日本人全体を危機に陥れている。国民を守るための自衛隊が逆に 海外の日本人の生命を脅かしている。 国を守るため、イラク国(アラブゲリラ)が日本を攻めてくると考えて予防的な措置として自衛隊は イラクに出掛けたのだろうか。だが、日本にはそんな危険は迫っていなかった。 じゃ、国を守る自衛隊がどうしてイラクに居るの?

    彼を含め日本人は、どうして自衛隊が海外に出て行かなければならないのか、その大義名分を知らない。 米国が破壊尽くしたイラクの戦後復興のため?まだ、戦争の真っ只中だ。 自衛隊は日本人の生命財産をを守るためにあるのではなかったか。 もし、イラクの日本人の命も守れなかったら何のために自衛隊はイラクに居るのか。

    大義なき中での自衛隊のイラク派遣駐屯、それによって海外の邦人を犠牲にしても仕方ないと考えているのなら、とんでもない考え違いである。 韓国では、自国の人質を見殺しにした。だが、比国では、軍隊を退けて一国民の命の尊さを示した。 日本の場合は、自衛隊の派遣満了時期がもうすぐ来る。満了する時期(12月)を早めるなどをゲリラ側に提案、交渉して、 やはり命の尊さを優先するべきたったと思う。繰り返すが、今回は、大義なき中での自衛隊派遣だからだ。 オランダのハーグ人質事件とは、まったく性質が異なることを国は知るべきだ。

    この欄で時々書いているように、日本には個人主義なるものが未発達のために他人の命の尊さが分からない。 このコラムを通して一貫して指摘しているのは、人間権に対する国の軽視である。棄民政策、餓死事件、虐待死、 人身売買などみな同じ観点から論じてきた。

    日本は、中国についで国民の命を軽視する国である。中国では毎年数千人が炭鉱事故で死んでいるが 中国政府はそれを公にはしない。その理由は、それだけ人口増加が助かるからだ。 だが、日本国の政治家や官僚はそろそろ頭の中を入れ替えないと、今まで通り、中国と同じような人権軽視政策を採っていると 取り返しの付かないことになる。

    それは、もう 3,4年もすると日本の人口は減り始める。天然資源のない日本は、人的資源が唯一資源だ。それを今までのように、 粗末に扱っていたらどうなるか。50年先の日本が見えてくる。

    ひとつの命を惜しみ慈しみ、大切に扱おう。それが日本人の願いだ。

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    実力があるものにメダル
    サッカー、野球チームの惜敗


     アテネオリンピックが終わった。連日、テレビ観戦していた人も少なくないだろう。あるいは、 アテネまで わざわざ足を運んで実際に競技を見た人もいるだろう。 メダルに喜び、メダルに泣く選手の顔が画面に出ては消える。今回は日本もがんばった。 特に、女性の活躍はすざましい。

    何回か前のこの欄で、女性マラソン選手選考委員会の選手選びについて書いた。 過去の栄光や履歴にとらわれず 未来の可能性に賭けて選ぶのが望ましいと書いた。結果はその通りになった。 もし、過去の栄光や履歴で選手を選んでいたら今回、金メダルは取れなかっただろう。 いや、取れたという人もいるが、実際に走っていないのでわからないが、多分無理だっただろう。 もちろん、これは仮定の話だが。 それは、過去の栄光に周囲が期待してしまうのと特別の人のようにチヤホヤされて本人の気の緩みがでるからだ。 ラドクリフの例がわかやすい。 

    無名の選手でも実力を見抜く人がいれば、実力があるものがどんどん舞台に立てる。 これが、社会のあるべき姿である。この環境がないと優秀なものが桧舞台に 永久に登用されない。宝の持ち腐りになってしまってはいけない。

    これは、スポーツ界のみではなく全ての分野・社会において同じである。 日本社会には、実力を見抜ける人が残念ながらいない。それ故、実力以前に、学歴や血縁、派閥や縁故、 年功序列などが跋扈する。官僚社会だけでなく、大企業でも学界、大学でも。もっと顕著なのは、 政治家選びも総理大臣も。 

    だから、教育ママは有名校出の肩書きを自分の子供につけるために、夜遅くまで塾通いをさせる。 スポーツ以外のところでは、真に実力があるものが、見出されないまま消えていく。 この歪んだ社会が存在し続けるのも、実力を見抜ける人が不在だからだ。

    実力を見抜ける人がいる国、それがアメリカンドリームを達成する国である。 このオリンピックの実力社会は、どこか自由で、新鮮な気がする。学歴や血縁、派閥や縁故、 年功序列に関係ない。世界が騒ぐ理由はここにある。 

    もうひとつ、このオリンピックが我々に教えてくれたものがある。 それは、先進国、後進国、全て選手を同じ尺度で測って、順番をつけることだ。 これによって等身大の自分(自国)を見ることができる。

    それが時には悲劇になる。今回、それが顕著に現れたのはサッカーと野球チームだろう。 サッカーは、予選敗退。プロ野球界の精鋭を集めた日本野球チームは、オーストラリヤのアマチュアチームに 連敗、一度も勝てなかった。オーストラリヤのチームにはたった2人だけしかプロ、すなわち メジャーリーグの選手はいなかった。言い換えれば、草野球のチームに日本のプロ・オールスター が負けてしまったのだ。

    少し大胆な言い方をすれば、日本のプロと呼ばれている選手たちは、国際基準で測ってみると まだ、アマチュアレベルだということだ。

    日本のスポーツ界でプロとして商売をしている、主なものでは、野球、サッカー、ゴルフがあるが そのレベルは、外国人の目から見ると、世界ではアマチュアレベルか、それ以下である。

    サッカーにしても野球にしても選手の技術レベルが、まだまだ低い。日本人ファンの多くが、 日本のサッカーと野球は世界水準にあると見てるいる人が多いが、 昔、米国のメジャーリーグ野球や英国のサッカーリーグを見た人は、その違いに驚いた。

    にもかかわらず、おめでたいサッカーや野球ファンは、彼らのプレイをプロのわざだと勘違いしている。 これも島国という小さい世界しか知らない人種の陥りやすい勘違いだろうか。 錯覚を犯すのは、野球、サッカー、ゴルフ界から世界で活躍する選手がひとりでもでると そのスポーツ全体が世界レベルになったと勘違いする。

    この傾向は、何もスポーツ界だけではない。産業界、経済界、学術分野にも共通している。 一昔前、日本の経済は世界一流と騒がれていた時代があった。産業界、経済界のトップは自分たちは一流 の経営者、官僚だと錯覚を持ってしまった。

    ところが、バブルがつぶれて見ると、ほとんどの日本の銀行をはじめ企業は、 世界の格付け会社から二、三流以下のレッテルが貼られた。経営のイロハすら知らない銀行経営者が、 数十兆円を越える不良債権を抱え込んで右往左往していた。 巷では、トランプの婆ばあ抜きの「ばばあ」カードのようにだれも引き受け手がない。 不良債権の行き場がなくてうろついた末、結局は税金で処理するか、しなくてはならない。

    不動産、銀行、建設業だけでなく、政府機関、特殊法人では住専、道路公団、郵貯、社会保険庁、林野庁の、アマチュア経営が 露呈してしまったのだが、それでも役人出の当事者たちはいまだにプロのつもりでいる。だから責任もとらない。

    プロ気取りのアマチュアは一刻も早く、本当のプロに差し替えねばならぬ。それには、スポーツ界のように 実力があるものにメダルが授与されるような社会に変えていかないとこの日本は沈没してしまうだろう。 何時までも表彰台(学歴や血縁、派閥や縁故、年功序列など)にかじりついていないで早く降りなさい。

    実力がなくても肩書きだけで表彰台に上げてもらえる、年功序列経営者、天下り官僚、2世、3世議員はさっさと退場して、 実力のある者に門戸を開いたら各方面で金メダルがもっともっと出る。

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    監視対象国-日本の人身売買、売春や強制労働
    米国務省の年次報告


    わが国には人身売買を罰したり防ぐための法律がないことを、あなたはご存知でしょうか。
    日本の人身売買は世界130ヶ国の中でも最悪、 日本は、タイ、ベトナム、フィリピン、パキスタン、インドなどと同じくらいに人身売買が公然と裏社会で行われていることを、 あなたは知っていましたか。

    多分、そんなことは寝耳に水、日本人の中でも この事実を知っている人は、人身売買にかかわっている人やマスコミ、政府関係者だけでしょう。
    最近、発表された米国務省の年次報告でこの日本の人身売買のことが公にされました。日本の人身売買が 他のアジアの諸国と同じように監視対象となりました。 勿論、海外に住む日本人は、 とっくにこのことは知っていました。

    なぜ、米国務省が報告書を出すまで日本の政府、役所、マスコミは隠していたのしょう。
    これには、いくつかの理由があります。

    日本でやっている人買いの習慣は、古くから悪しき慣習として日本全国で行われています。江戸時代には、 借金取りが債務者の幼い女子供を連れて行って妾にしたり、遊郭に売ったりする習慣はすぐ身近で行われていました。 金銭で、幼い女子供を商品のように売買することができたのです。今でも花柳界では公然と行われています。

    最近もっと規模が大きく、日本で行われている人身売買は、国際的に活動している暴力団(ヤクザ)が中心になっています。 日本の政府、役所、警察、マスコミがひたすら隠し続けてきたのも、この人買いの習慣が残る日本の評判を悪くしないためと、もうひとつは やくざ組織に対する配慮でしょう。端的に言えば、やくざ組織の資金源にメスを入れることは怖いからです。

    タイ、パキスタン、インドの人身売買は、よくマスコミでも報じられますが、日本ではそれらの国と同じくらいに 幼い女子供の売買が行われていることは案外知られていません。
    商品となるのは、東南アジアの国からつれてこられる幼い女子供たちが(風俗)店から店に全国に転売されています。 政治家も知っていますが目をつぶっています。女性の社会的地位向上、同権を叫んでいる社民党や共産党 ですらこの問題を今まで米国国務省が報告書を出すまで黙認していました。

    最近、発表された国務省の年次報告 でこの問題が海外では大きく報道されて、 日本人も新聞やTVのニュースで知ったようですが、これは日本の 恥部陰部を外国の政府によって暴かれたわけで、海外に勤務する外務省の役人はどう反応したのでしょうか。
    人道主義とふたことめには口にする、政治家はこれ以上の非人道行為は他にないことを知っているのでしょうか。 ODAでいくら金をばら撒いても、国内に人身売買防止の法律がないのでは先進国としてはおろか、 民主主義国家としての基盤すら疑われても仕方ありません。

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    自衛隊は日本人の生命財産をを守るため?
    イラクで邦人が拘束


    イラクでフリージャーナリストを含む3人の日本人がアラブゲリラグループに拘束され、人質になった。 ジャーナリストの親子が殺害された。

    このニュースは国内ではトップ記事、連日、マスコミを騒がせた。国内では、解放されたその3人の 背景や家族の対応などを調べ上げて大騒ぎしていたが、問題はそんなことはどうでも良い。 重箱の隅をつつくのが好きなマスコミがやれば良い。

    それよりも、アラブ諸国に住む人やアラブ人の多い北米に住む人々は、アラブゲリラの格好の的になる。 このニュースは海外に出て行く、あるいは住んでいる日本人に大きな衝撃を与えた。 

    米国のイラク戦争に日本が追従、自衛隊がイラク派遣されたのが原因だ。
    自衛隊のイラク駐留が国外の日本人全体を危機に陥れている。国民を守るための自衛隊が逆に 日本人の生命を間接的ではあるが脅かしている。自衛隊は日本人の生命財産をを守るためにあるのではなかったか。 もし、イラクの日本人の命も守れなかったら何のために自衛隊はイラクに居るのか。

    国を守るために海外の邦人を犠牲にしても仕方ないと考えている政治家や官僚がもし居たら、とんでもない考え違いである。 日本国を守るため、イラク国(アラブゲリラ)が日本を攻めてくると考えて予防的な措置として自衛隊は イラクに出掛けたのだろうか。だが、日本にはそんな危険は迫っていなかった。 じゃ、国を守る自衛隊がどうしてイラクに居るの?

    理由は簡単である。自衛隊のイラク派遣は、義理堅い小泉内閣と官、財界の米国への恩返しである。 今まで日本の安全保障や経済発展に米国のバックアップが少なからずあった。 日本が経済大国になれたのも米国のおかげだ。

    もうひとつは、この二、三世紀、世界を見渡したとき、世界を牛耳っているのはアングロサクソン人種である。 日本は、第1次大戦のときは英国と日英同盟を結んでいたため多大な利益を得た。 日露戦争の勝利もアングロサクソンの裏方の仲介で勝たしてもらった。 しかし、第二次大戦では、アングロサクソンを敵に回したため手痛いしっぺ返しを受けた。 

    この経験が、多くの日本人政治家、官僚や財界人の頭にはある。
    ロンドン大学に在籍した事のある小泉さんには、少なからずアングロサクソンびいき(贔屓)である。 ブッシュさんのやっていることを冷静に評価、検証する前にそそっかしくも早々とブッシュさんに同調してしまったのである。 憲法解釈を強引に捻じ曲げて国会も承認してしまった。此処まではよかった。

    が、そのつけとしていま、小泉さんのそそっかしさが試練に立たされた。フランス、ドイツなどヨーロッパの国々やカナダは 石油目当てのブッシュ戦争には反対だ。

    戦前、一外務大臣のそそっかしさから日独同盟を結んでしまった。そのあと、日本国民は第二次大戦という悲惨な運命をたどる。その外務大臣が戦後、回顧録にあの日独同盟は失敗だったと書いている。

    政府は、今自衛隊を撤退させるとテロの言い分を聞いたことになるからそれはしないといっている。が、危機管理を精通したものからすれば、自衛隊の撤退もテロ攻略の選択肢として当然考えていいだろう。命は一度失えばもう帰ってこないが、自衛隊は一度退いてももう一度出掛けられる。米国には義理が立たないが国民にはたつ。

    「人間の盾」の木村公一牧師らは「政府が犯人側と交渉しないなら、民間でやる」と提案している。外務省の手腕を試されるときでもある。小泉さんが後に回顧録で「あの自衛隊派遣は失敗だった。」 などと書くようなことのないように、この難問をどう切り抜けるか監視したい。

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    二つの選考委員会


     ある新聞社が、高校生を対象に小論文コンクールをインターネットで行った。テーマは「ゆとり」。 その選考作品の発表がインターネット上で最近あった。最優秀賞1名、優秀賞2名、佳作数名が発表された。 勿論、受賞作品全文も掲載されていた。

     昨今、ティーンエイジャーの犯罪が急増している中で、彼らの考え方に人一倍興味があったので受賞作品を 片っ端から全部読んだ。

    読んだ感想は、一言で言うと少なからず失望してしまったのである。一生懸命に書いて応募した高校生には申し訳ないが、 いずれの論文もいつかどこかで 耳にした言葉や考えの繰り返しであったからだ。明治の高校生も、昭和の高校生も書いていた、言っていたことを繰り返して いたのに過ぎない。新鮮味がまったくない、がっかりしてしまった。

    だが、気持ちを取り戻してこれは少し変だな思った。身近に接する若者の考え方とちがう。多くの応募の中から これらは選考委員が選んだ高校生の論文なのだ。すなわち、選考フィルターを通した結果なのだ。

    優等生の論文なのだ。受験生の入試選考委員が好むように書き直した論文なのだ。 若さの特権である、新鮮な意見がないのはそのためだった。

    結果的に、保守的な選考官の考えをコンクールという名のもとで高校生に書かした論文なのだ。 優等生は、細い毛細管が見えて弱々しく可愛らしいウサギの耳を「赤い」とみても絶対に赤いとは書かない。赤いと書くと落第するからだ。個人的な感性は選考官に通じないのを受験術として身に着けた若者は知っている。 選考官が、「ウサギの耳は長い」と訂正するの賢い彼らは知っている。

    受賞者には申し訳ないが、大人の処世術を早くから身に着けてしまったあなた方はもうそれ以上伸びないだらう。 一方、落選した若者にはまだまだ未開な無限の将来がある。

    同じころ、アテネオリンピックのマラソン派遣選手選考会から派遣選手名が発表された。 驚かされたのは、前回のシドニーオリンピックで優勝した 選手が派遣選手からはずされたことだ。ここでは、優等生は選ばれなかった。

    こちらの選考会は実績や経験などより将来の伸びと可能性を選んだと選考委員が述べていた。 その通り、やっと、世界を見る目をもった人が出てきた。 スポーツの世界は、結果が出る。日本の多くの分野に残っている肩書きや縁故、閨閥などは通用しない。 スポーツ界の選考委員も意識改革が遅ればせながら進んできているのであろう。

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    汚職返上へ新政権が“腐敗官僚狩り”


     2054年、革新派の竹上新首相の指揮下で、公約の汚職・怠惰官僚狩りが猛威を振るい始めた。

     先月下旬の首相の就任後、局次長ら高官100人余が職務怠慢・収賄容疑などで刑事訴追されたほか、 新政権は「腐敗官僚たちを束にして鉄格子の中へ放り込んでいる」状況だ。 検察当局は、「追及に高級官僚と言えど例外はない」としている。

     官僚の腐敗は“官僚王国”として保守政権下で何世紀も続いてきた。腐敗官僚が国家に与える損失は、 「年間数兆円」(ジャーナリスト)という。外国の経済支援ODAも汚職の標的となり、新首相によると「本来の目的に 使われるのは支援総額の5%に過ぎない」。

     金もうけの源を失った旧族議員・高級官僚が、新首相の暗殺を試みる恐れも指摘され、 新首相は身辺警護強化を命じた。

     新首相は、旧保守政権時代、野党の立場から汚職政治家や天下り官僚の糾弾で勇名をはせ、 今度の選挙で大勝した後に首相となってからも汚職対策を重要政策に掲げた。

    だが、「伝統的な腐敗・汚職土壌に阻まれ、新首相もどこまでやれるか疑問だ」と実行を危ぶまれている声も出始めている。
    (2054/2/15/00:00 みんなの新聞 無断転載禁止)

    <これは、海の向こうのグルジアの2004年のお話でした。>

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    消費税2桁時代


    日本の財務省は、近く消費税を内税表示にするとの通達を出した。 日本以外の先進国で、政府がこんな動きをしたらすぐに大騒ぎになるだろう。 が、しかし、日本では大きな騒ぎになっていない。 それどころか、諸外国がなぜ外税表示をするのか、日本に住むほとんどの人がその理由を知らない。

    これは島国の悲劇というか島国のもつ弱点であり、逆にこの弱点をうまく利用していたのが、そのときの支配者だった。外部からの余分な情報を遮断するには、島国はとても有利だ。 徳川幕府は、島国の有利性を最大限に利用して権力を維持するために鎖国をし、外部との情報を遮断した。現在の北朝鮮や一昔前までのベルリンの壁もその役割を果たしていた。

    現在の日本は、鎖国もしていなければベルリンのような壁もない。情報はあふれんばかりに入ってくる。と日本に住んでいる人は思っている。が、日本を出て欧米に住むと日本では知らなかった多くの情報に出会う。特に、制度に関することでは表面的には、先進国と同じ体裁を装ってはいるがその内面ではまったく違うものが多い。その例は、枚挙できないほどあり、日本の制度全体が治める側に有利に諸外国の制度を採用しているのに気付く。お上が有利に統治できるように先進国と同じ民主的なシステムを細部まで導入していないことが多い。

    たとえば、司法制度にしても最高裁の裁判官を国民は罷免できる民主的な制度は諸外国と同じだが、 その方法はまったく異なる。日本では総選挙のとき、投票総数の半数以上が不信任と表記(X印)しないと罷免できない。 白紙は信任と見なされる。地方や地域社会の小規模な住民投票でも過半数を取ることは難しいに、 国単位で過半数、白紙は信任という今の制度は、この先百年たっても国民の意思による最高裁の裁判官の 罷免はないだろう。
    この例のように、実質的不可能なことをあたかも可能であるように外国には見せかけている。 白紙を「信任」とする日本の今の制度は、世界の噴飯ものだろう。こんな民主主義は他国に例がない。

    多くの公的機関には監査制度があるが日本では、監査するのは内輪の人間がする。諸外国の監査制度とは その実態はまったく異なる。先進国では、監査機関は独立した外部の第三者がするのが慣例だ。

    少し前、道路公団の総裁がやめる前に国土交通省の大臣に、政治家役人が国有地の不正払い下げに 関与していたことをイニシャルを挙げて告げた。「もし、このことが公表されれば死人が出る」と相当大きな疑獄になる ことを暗示した。これが、諸外国ならば、すぐに独立監査・検察官が動き出すところだが、 日本人にはそんなフェアなシステムが先進諸国にあることを知っている人は少ない。 マスコミをはじめ、この件はその後誰も掘り下げていない。

    この日本の巧妙な中身を骨抜きにした制度を考え出したのは賢い小役人だと思うが、この疑問については、ウォルフレン著「日本の権力構造」にも記述されている。

    今度の消費税の内税表示にしても、非常に巧妙だ。頭の良い大蔵(財務)官僚の知恵だろう。こうすれば、 消費者は表示価格の中に埋め込まれた消費税の存在が希薄になる。こうしておいて将来、消費税2桁値上げ の布石にする考えが見え見えだ。

    消費者の納得を得て消費税を上げる先進国と消費者に気がつかないように消費税を上げるやり方の違いがある。 また、欧米の付加価値税や消費税は消費者から徴収した税金分はそのまま州や国に入るが、日本の消費税は、 その一部は業者の懐に入る。消費者の払った税金は税金とならないで業者の利益になってしまう。 これを益税と言うらしい。税金と言う名目で商人の懐に入る制度はこれまた先進諸外国では例がない。 消費者はますます消費税を払いたくなくなる。

    消費税と言っても私が居るケベック州モントリオールでは、食品にはかからない。理由は、食品はぜいたく品ではないからだ。また、年収が低い所得者層には毎年消費税として支払った分の払い戻しがあって低所得者に厚い配慮がなされている。欧州の消費税に相当する付加価値税は、付加価値に対してだけ税金がかかる。たとえば、1000円で仕入れたものを1200円で売ったときは、差額の200円が課税対象となる。

    こんな違いがあるのを、多分、島国の日本にはここまで情報ははいっていないだろう。日本人には欧米では、消費税は2桁だと言うことだけはたびたび知らされる。日本に住む日本人は、こう聞かされて2桁になるのはしょうがないかと思わせる。日本人の間では、消費税を金持ちも貧乏人も同額を払うことの矛盾にそれほど議論が白熱しない。そんなものだと考えている。そんなことはない、貧乏人には消費税をチャンと国から払い戻される仕組みが先進国にはある。

    多分、小泉首相が代わるころ消費税が引き上げられるだろう。そのときまでに、消費税の議論を徹底的にするべきだが、島国では先進各国の情報がまったく入ってこない。多分、この記事をみてはじめて消費税のあり方を考えなおす人もいるのではないか。

    だが、同じ島国でも英国は日本みたいなことはない。どんどん情報が入ってくる。どこが違うのか。ひとつには、欧州大陸との距離が近いのと人の往来が頻繁に何世紀も続いているからだが、もうひとつ、大きく決定的に違うのはマスコミの独立した精神の違いだろう。英国の国営放送BBCが政府批判を堂々とやる。イラクの大量破壊兵器の問題では、ブレア首相を真正面から攻撃した。皇室批判もどうどうたるものだ。

    日本の国を代表するNHKはどうだろう。政府の批判どころか、ロッキード事件で逮捕された総理大臣の仮出所にNHK会長が出迎えに行くほど腐敗した倫理観が充満したマスコミ機関しかない。

    国の国有地を払い下げてもらって国に借りを持つ日本の3大紙をはじめ自主規制に縛られて必要以上に 政府やお役所に気を使う日本のマスコミ陣では、英国のマスコミのようにフリーハンドで海外の情報をどんどん国内に 紹介することもできないし、ジャーナリストの質も気概、精神も日本と欧米では雲泥の差がある。 先進国と後進国の違いはジャーナリストの質の違いと言っても間違いではない。 日本のジャーナリスト諸君、日本の将来のためにもっと頑張ってもらいたいものだ。

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    情報不足が招く誤解


     地球温暖化が進んでいる。各国で利害関係が対立している間はこれは止められないだろう。 京都議定書なるものをつくってみんなで炭酸ガスの排出を 減らそうといっても、寒い北国(北半球の場合)の国民は温暖化を歓迎するだろうし、作物の収穫もあがる。 北欧諸国やロシアなどは温暖化を歓迎している。 カナダもそうだろう。が、カナダ政府は良識を見せて、京都議定書に賛成の署名をした。

    カナダのモントリオールでもクリスマス前後に雨が降った。それも、冬のしとしと降るやつではなく熱帯地方の スコールにみたいな常識を覆す激しい夏の雨だった。 この時期、日本から来た観光客はどんな風に感じただろうか。 「モントリオールの冬は日本の北海道より暖かいわ」 このような誤解は、結構多い。

    海外に留学や駐在で短、中期(1年から4、5年)滞在した人の手記を インターネットのサイトで読んでいると面白い。笑い出してしまいそうな誤解がいっぱいある。 これらの手記を読んだ人はまったく違う印象をもってしまうだろう。

    その中でも一番多いのが、「ここにはXXXがない。日本から送ってもらった」というもの。 カナダに長く住んでいる人にとってみれば、そんなものはすぐ手に入るのに不思議な事を書いている。 モントリオールに滞在した人の手記を読んで、日本から味噌醤油酢から歯磨粉、風邪薬までスーツケースにつめて 持ってきた人もいる。「ナーンダみんなあるじゃないの」と着いてからはじめて気がつく。

    近頃は日本の雑貨や食品や現地の中国店や韓国人の店にあるのでほとんど手に入らないものはないが、 それでも難しければ日系人が経営している店に行けば大抵手に入る。 でも、モントリオールで手に入らないものもたしかにある。それは、魚介類だろう。 ハマグリ、アサリはあるが蜆はない。鯛やさば、カマスはあるけどフグやナマコはない。

    これは、手記の執筆者の知識の範囲で書いたことからくる罪に違いないが、これらの誤解が生む原因は、 日本人が島国に住む環境と現地の言葉が自由にできないところから来ている。

    情報の集め方がわからない。言葉が通じない。日本と習慣が違う。など多くの要素が手記を書く 人の知識を乏しくしている。インターネットで情報を検索する、と誤解が詰まったそんな手記に出会う。

    筆者にも失敗談があった。一昔前のことだが、ロンドンから郊外に汽車で出かけたときの話。 英国(欧州、アジヤ)の鉄道には、日帰り切符(DAY Return) という切符がある。今でもあるかどうか知らないが、 ロンドンの近郊に出かけるときはこれを使うと半額くらいになる。

    パディントン駅の切符売り場に行って"OOまで Day return, please." とおっかなびっくり日帰り切符注文した。 ところが、" Day XOXOXO $$O&&OO **???????" と質問が帰ってきた。 DAY 以外はまったくわからない。相手に日帰り切符のことが通じなかったのかと思い、また同じ文言を繰り返した。 また、" Day XOXO XO$$O&& OO** ???????" とおなじ質問がかえってきた。今度は少し言い方を変えていってみたが 相変わらず質問が返ってくる。何回かくりかえたがいっこうに切符を売ってくれる気配がない。

    こんな事をしていたら、汽車に乗り遅れる。 日帰り切符をあきらめて、"OOまで return, please."と言い直すと何にも聞かずにすぐに切符を売ってくれた。 簡単だった。やれやれ冷や汗をかいてしまった。

    さて、この失敗はなんだったか大分後のなってわかった。ロンドンに行った人はもうお分かりと思うが簡単な事だった。 日帰り切符には、何種類かあってどの日帰り切符かを聞いていたのだ。時間帯によって多少値段が違うらしい。 ラッシュアワー時は高く 昼間は安い。これは、通勤時間帯の混雑を緩和するために考え出された方策だと聞く。 そのころ、日本の鉄道にはそんな習慣がないからまごまごしてしまった。

    もうひとつ、そのとき不運が重なっていた。それは窓口にいた係員が ひどいカックニー(ロンドンの下町訛り)で聞いてきたからわからなかった。

    その後、ロンドンでは、時々パブでカックニーをしゃべる 人に出会うが、今でもカックニーはわからない。 カナダにいる英国人にこの話をしたら、その男もカックニーでしゃべる酔っ払いの話をした。 同じ英語で話していてもさっぱりわからなかったという。宇宙人と話をしているみたいだったといっていた。 これも、現地の言葉が自由にできないひとつなのだろう。

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    「地図の読めない女、ひとの話を聞かない男」

    少し前に「地図の読めない女、ひとの話を聞かない男」という本が日本で ベストセラーになった。著者はたしか英国人夫婦だった。
    本当だろうか。勿論、男と女の違いを一言でこんな風に定義することじたい無理があるわ。 「でも、この定義はある程度当たっていない?」

     ある人がこんなことを言っていたのを聞いたことがある。「うちのはまったく方向音痴でね、 車で出かけるとき、ナビゲーションができないんだよ」こんな経験しているひとも多い。
    逆に「男はまったくだめ。目撃者は女性の方がよく見ている」とひき逃げ事故で警察官が こぼしていた。
    専門家によると右脳と左脳の発達が男と女は違うからという。

     最近、道路公団総裁の更迭問題が話題になっているが、扇大臣(女性)から石原大臣に 替わった途端、こんなにも同じ小泉内閣のもとで政策が変わってしまうのかと驚く。

    個人的な好き嫌いで更迭したわけだはないとすると、道路公団総裁の方針か、管理能力、それとも政策が小泉内閣 の政策に合わなかったからだろう。とすると、扇大臣のときから小泉総理大臣の政策が豹変したのだろうか。 そうではない。前の大臣のときから、政策は変わっていないのだが女性大臣には更迭などドラスチックな行動が とれなかった。とりたくなかったのが現実だろうか。

     これは、問題である。内閣の方針を執行するべき省庁のトップが内閣の政策を執行しない。その間、国民にあたえる損失は、 はかり知れない。

     もう独りの女性外務大臣もなんとなく影が薄い。明確な政策を打ち出さずじっと現状維持を続けようとする。 これでは、道路公団問題も拉致問題も解決しない。

    地図の読めない女性は、国の政策を遂行したり改革するのには向いていない。 小泉さんも早くこのことに気がついて外務大臣も変えないと拉致問題は進展しない。 イラク派兵についても、明快な姿勢を見せようとしない。

     前回の選挙で田中真紀子氏が当選した。彼女は数少ない地図が読める女性のひとりだ。 現実はどうか知らないが、決断力、行動力はある。 彼女が外務大臣時代に、外務省の垢を相当出したことは国民は知っているが、 彼女が拉致問題を任せられたらどんな風に解決するだろうか。

     真紀子氏が最近、佐渡島で「拉致の子供たちは、北朝鮮国籍でしょう、そんなに簡単にいかない」 といって拉致家族の会のひんしゅくをかった。

     日本人の感情からすると、「なんと無神経なことを言う女だ」と憤慨した人も多い。 が、しかし真紀子氏の考えは正しい。国籍とは重いものなのだ。北朝鮮国籍の人 を無理やり日本に連れてきては、これまた逆拉致になる。だが、真紀子氏は拉致問題は解決できないとは言っていない。 ひとつの、誰も気がついていない問題を拾い出したまでだろう。

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    北朝鮮からのミサイル攻撃


     日本では北朝鮮からのミサイル攻撃に備えて、 ミサイル防衛網を米国と共同でつくることが決まった。政治家や防衛庁幹部は乗り気だ。多分、彼らは何もわからないで始めるだろう。

     ここで、拉致問題で熱くなった頭を冷やして冷静に考えてみよう。 まず、アメリカの現在の技術力をしても、ミサイルが発射されてそれを検知して仰撃用ミサイルを発射するのに少なくても2,3分かかる。2,3分は短いようだけどノドン・ミサイル発射側からすれば、その行程の半分終わっている。

    このとき、そのミサイルが本当に日本を狙っているのか、太平洋に試験的に 発射したロケット実験かを人間が入って判断するとなれば、あと数分遅れる。 

    その後、その飛んでくる敵のミサイルを見つけて仰撃用ミサイルを発射して敵の飛行中のミサイルに命中できる確率だが、短距離ミサイルの時は良くても60%くらいしかない。普通は、20%以下だと事情に詳しい専門家が漏らしている。

    その理由は、近隣国向けに開発された射程の短い近距離ミサイル(ノドン)は、発射されて数分以内で目標に到着する。その数分間の間に、防御側はすべてをやらなければならない。これは、かなり難しい。

    だが、大陸間弾道ミサイル、テポドンのような長距離ミサイルになると話はすこし変わる。射程距離が長いだけ目標に到達するまでの時間がかかる。数十分以上ある。これを、打ち落とすことは可能だ。 テポドンなら90%以上は打ち落とすことができる。

    そこで、防衛庁幹部はこう反論してくるだろう。「ミサイルの発射は、その発射前段階から監視すれば、もっと早く探知できる。ミサイルを発射するには、サイトにミサイルを搬入する行動があるはずだし、給油の状況もつかめればもっと確実になる」確かにその通りだが、どうやって監視するのだろうか。情報衛星を使うにしても、四六時中監視はできない。情報衛星が上空に来たときだけカバーをしてしまえばまったく分らない。24時間監視するには、少なくても30個以上の情報衛星を極軌道に置かないと不可能だ。

    相次ぐ、JAXAの情報衛星打ち上げ失敗で30個の情報衛星打ち上げはまず現実性はない。ということは、発射前段階から監視はあまり期待できない。

    ここで、賢いあなたはもうお判りと思う。そう、今度のミサイル防衛網構想は、 日本の防衛のためではなくアメリカ本土を護るためのミサイル防衛網なのだ。 日本に北朝鮮の近距離ミサイル・ノドンが発射されたら、現状はどうしょうもない。 ピカッ・ドン、それまで。もう一つの広島が登場する。この後は書くまい。

    では、日本はなにを今すべきか。それは、ミサイルを作らせないようにすること。ミサイルは空気では作れない。金が要る。その資金源を船で運ぶもの、地下銀行を通ってゆくものも含めて完全に断つことだ。どんな金が資金源になっているかは、新聞に書いてある通り。

    燃料となる油もたつこと。それと外交努力だが、今の外務省のODA札をばら撒いて交渉する外交や、外交の仕方も知らない内(?)交官ではそれは期待できない。 それどころか、大事な国民の税金を使ってアメリカ国民を防衛することになりそうだ。

    第2次世界大戦でアメリカが日本にやったこと、それはやはり兵糧攻めだった。石油をたたれて菜種油で戦艦を動かした。飛行機が飛ばせなくなった。士気も落ちた。 それが敗因になったことは誰も疑わないだろう。

    それよりも、もっと大事なことは「ノドン」が飛んでくるところは人口が密集しているところ。 そこをはなれること。 何処がいいかって?モントリオールはどうだろう?ここまでは、「テポドン」もとんでこないだろう!


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    SARS 神と人の攻防


     SARS、この新しい感染症は 今までのコレラ、チフス、天然痘などより強い感染力と死亡率が報告されている。

    医学の発達で人間の寿命が延びてなかなか死ななくなったら、次々に新しい病が躍り出た。 癌、エーズ、エボラ熱、Oー157、そしてサーズ(SARS)、これからまだまだ増えていくだろう。

     これは神の仕業だという人もいる。
    その人の意見は、こうだ。
    人は、自然界に住む動物の一品種に過ぎない。その人間が増えすぎた。他の動物を犠牲にして、食い散らかして 増えすぎた。戦争をして人間同士が殺しあっていたころはまだよかったが、大きな戦争をしなくなって人が死ななくなった。 食糧事情が改善されて餓死もへった。

    ひところ、中国の人口は八億人だった。毛沢東が共産主義を謳歌する歌の歌詞の中に「この八億の民」という文言がある。 が、しかし、今は十二億、五割もふえた。四億人がこの50年間に、世界全体では20億人が増えた。 そこで、天の神はこの増えすぎる人間を減らすために次々と手を打ってくるだろう、というのだ。

    そういえば、近頃天災も続いている。地震、火山爆発、洪水、竜巻、暴雨風雨、確かに神は次々に手を下してくる。 日ごろ神を信じない私も、そういわれればなんとなくそうかもしれないなと考えてみる。

    2,3年前、この世の終わりが来ると「ノストラダム」の著書を引用して1999年7月にこの世に天変地異が起きると大騒ぎしていた一団がいた。しかし何も起こらなかった。その後、その連中はどんな顔をしているのか知らないが、自分の能力に限界が来るとこれは神の仕業だと大昔から騒ぎ立てる者はいた。そしてその連中は、自分には神の声が聞こえるとオオボラ吹いて騒ぎ、存在感を誇張する。いわゆる「シャーマニズム」だ。

    最近日本で騒いでいる、白装束の一団もその一つだらう。この連中が言っていることがこれまたインチキ極まりない。 白い布で浮遊する電磁波から守るというのだ。白い布で遮断できるのは紫外線くらい波長の短い光だけでその何千倍も長い電磁波には何の効果もない。電磁波のうちでも最も光に近いX線でも白い布は難なく通り抜けてしまうことは素人でも知っている。だが彼らは本気で電磁波から身を守もろうと白装束をまとっている。

    カナダのモントリオールにも、得体の知れない宗教団体の支部があちこちアパートの一室を借り、次々に出現している。 勿論その多くは、金持ちを狙ったいかがわしいものだろうけど、SARSなどが流行すると人間は、この世の末期説などに簡単に騙されやすい。
    SARSよりもそんないんちき世界末期説にくれぐれも用心に越したことはない。

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    ある出来事
    ある虐待死と餓死のこと


     インターネットで何の気なく日本の新聞を読んでいたら、つぎの記事が目に入った。

      いずれの記事も読み終わってしばらく胸がつかえてボーゼンとしてしまった。 まもなく目頭が熱くなって、涙がとどめなくあふれ出てきた。やりきれない。

      親から、虐待を受けていた幼児がそれを一生懸命心の中に隠していた。が、誰かからの助けを 欲しかったのだろう、それを求めていたんだ、きっと。そして亡くなった。

     

     



    名古屋虐待死:

      同級生にあざ見られ「言わないで」 杏実ちゃん

     名古屋市南区で市立宝南小2年、鈴木杏実ちゃんが母親の唱子容疑者(32)らの虐待で死亡した事件で、 杏実ちゃんが不登校になる直前、複数の同級生に、顔のあざを見つけられ「両親にたたかれた」 と漏らしていたことが分かった。杏実ちゃんは友だちに「このことは言わないで。またたたかれるから」 と口止めしていたという。杏実ちゃんの密葬が名古屋市南区の葬儀場で行われ、親族や学校関係者、 同級生100人が最後の別れを惜しんだ。

       同級生の母親によると、3ヶ月ほど前、子どもが杏実ちゃんの顔のあざに気付き「どうしたの」と聞くと、 「お母さんとお父さんからたたかれた」と打ち明けたという。

       この母親は杏実ちゃんの死亡2日前に子どもからこの話を聞き「なぜ早く言わなかったの」ととがめると、 「杏実ちゃんから『このことは言わないで。じゃないとまたたたかれるから』と言われた」と話したという。 虐待への恐怖から杏実ちゃんは周囲に助けを求めることができなかったとみられる。

       関係者の話では、杏実ちゃんが不登校になったあと、別の母親が学校の担任に 杏実ちゃんの顔にあざがあったことを報告。その後、担任が家庭訪問し杏実ちゃんに確認すると 「公園の鉄棒にぶつけた」と答えていた。また事件後、山本国臣教頭は「虐待に気付けず残念だ」と話していた。

       一方、傷害致死容疑で逮捕された唱子容疑者は、愛知県警南署に事件の上申書を提出。 この中で、うそをつくようになった杏実ちゃんに「嫌い」などと言われたのをきっかけに、 同居の竹田勝彦容疑者(29)と厳しくしつけようと相談。半年ほど前から素手やふとんたたきで 殴ったりし始めた一連の経緯を述べているという。

      [毎日新聞]

     

     

    もうひとつの記事。

      姉に先立たれ、自分の力では食べ物もとれない障害を持つ妹は、どんな気持ちで死を迎えたのだろうか。

     

    収入なく水も止められ、北九州市で30代姉妹が餓死

       北九州市若松区で先月、元中学校講師の姉(39)と軽度の知的障害を持つ妹(35)の遺体が 自宅で見つかった。 若松署によると、ともに栄養失調による餓死で、死後約1か月たっていた。両親が1993年に死んでから、 姉妹だけで暮らしていたが、親せきや近所の人との付き合いもほとんどなく、収入源を失って、電気やガス、 水道も料金不払いで止められていた。    

     調べによると、姉妹は住宅街の一角にある古い1戸建てに住んでいた。 連絡が取れないため心配して訪れた知人の男性が、居間でふだん着姿で死んでいた姉妹を発見した。

     姉が先に死亡し、妹は姉の遺体に数日間寄り添っていたとみられる。水が入ったペットボトルや 携帯ガスコンロが家の中から見つかった。遺書はなかった。
     心配した親せきが時々訪れていたが、姉妹は接触を拒むようになったという。生活保護は受けず、 区役所のケースワーカーも生活ぶりを把握していなかった。(読売)


    コラム
    「本能と愛情と恩」(その1)
    恩受のサイクル


     私たちは、生まれてきてすぐに自分で食べ物を探して食べられません。
    しばらくは、母親の胸に抱かれ、あたたかい愛情のこもったお乳をもらって成長します。 それは人間だけではなく動物の世界でも哺乳類は、皆おなじように母親から お乳をもらって大きくなります。

     何ヶ月か経って、自分の足で歩けるようになると、母親は少しずつ言葉を教え、乳飲み児は、 簡単な幼児ことばから はじまって、やがて日常生活のコミュニケーションが出来るまで語彙を増やしながら成長します。 ある夜、おさな児が病いになれば、母は、一晩中寝ずに看病をしてわが子の命をまもった こともあるでしょう。
    そんなことを繰り返しながら、いつかわが子も青年になり、美しい乙女に成人して最愛の パートナーを見つけてスイートホームを持ちました。

     そして子供ができました。 その若い母親は、自らが乳飲み児のとき、昔母から受けた深い愛情と尊い恩を、 今度は自分の子供に与えることでしょう。

    その愛情豊かな環境で育った子が成人し結婚して子供ができる。 次の世代に、また次の世代に、・・・・ と、こうして次々と愛情と恩の連鎖サイクルが 糸でつながっていくのです。

     これはいったい何がそうさせるのだろうか、そうさせないのか最近ふと考えたことがあります。 子供を育てない親、虐待する親、殺してしまう親、悲惨な事件があふれかえっています。
    人間社会では、これを親の愛情とか、親から受けた恩と考えたり呼んだりしますが、人間社会意外にも このような行動があるのをご存知ですか。
    動物の世界でも親が雛の餌を一日中捜しまわり、雛が外敵に襲われそうになると自らの身を 挺してわが子を守る。 わが子が病死すると何日もそのそばを離れないで見守る象の話もわたしは知っています。 これは、なんだろう。生き物の本能だろうか、それとも愛情だろうか。本能と愛情と、もうひとつ恩、 この三者は全く同じのものではないだろうか、 と考え込んでしまいました。

     相当むかしの事になりますが、ジョイ・アダムソン(英国人)が書いた「野生のエルザ」 (ノンフィクション、原名:Born free )という本がありました。映画にもなりましたから、 知っている方もきっといるでしょう。

    夫がアフリカで野生動物の監視官だったアダムソンはある時、夫と監視活動の途中で 親を失ったメスの赤ちゃんライオンに出会い、自分の家に連れてかえって自分の子供のようにして育てます。 名前をエルザとつけました。 やがてその赤ちゃん「エルザ」は成長して一匹のりっぱな雌ライオンになります。 ところが、育てたアダムソンはエルザの将来に悩みはじめます。エルザをこれ以上自分の手元において おくより野生に返していい相手を見つけて子孫を残して欲しい、と思うようになります。 決心がなかなかつかない中、涙を流しながらエルザに別れを告げ、荒野に返します。
    何年かのち、そのエルザが三匹の自分の子ライオンを従えて返ってくるのです。 このとき、アダムスは感激のあまりエルザに抱きつくシーンがあり 感動のクライマックスとなるのですが、この行動はエルザには、本能なのか恩返しなのか。それとも なんだろうか?

     この動物にも人間にもあるこの行為は、生きとし生けるものが持つ潜在的なセンチメント(Sentiment) であり、 知能指数の高い生き物のもつ学習能力ではないだろか。自分が育った環境の中で 愛情とか恩の真髄を学習して遺伝子の中に刻み込む。勿論、環境が違えば中身は全く違ってきてしま います。 不幸にして、親を失った幼児は親の愛情受ける機会もなしに、愛情を学習しないまま成長します。 オーファンと呼ばれる孤児院で育った子供に犯罪率が高いのもそんなところに原因があるかも知れ ません。

     ルーシー・モンゴメリーの「赤毛のアン」では、オーファンで育った少女が養母に泥棒扱いにされる ところがあります。 それでもアンは心の美しい愛情に恵まれて育ったような少女だったのですが、 これはフィクションであって現実では、中々そうは行かないでしょう。 子供の育つ環境作りがとても大切であることをつくづく感じます。

     日の丸や君が代を法制化して子供に歌わせ、戦前の教育に 戻そう考えている文部科学省は、 これで子供の環境づくりが前進するとはまさか考えているわけではないでしょう。

     子供が成長する良い環境づくりは、愛情のあふれた新しい未来世界を築く基礎じゃあないでしょうか。 今度の中東、アフガン紛争で多くの孤児が生まれました。 少し前にはベェトナムでも、コンゴでも、ザイールでも、 紛争地域では今でも親を失った孤児が毎日うまれています。 日本でも戦後間もないころ、巷には戦争で親をうしなった浮浪児があふれていました。

    この親の愛情を失った世代が成人した世界、言い換えれば、恩のサイクルの糸がぷっつりときれてしまった社会は、 どんな世界になるのでしょうか。

    コインロッカーに赤子を捨てたり、ごみ袋に幼児を入れて放置するなどは極端な例ですが、 愛情を知らない世代の群衆の中に自分をおいて考えてみるとぞっとする事があります。 つい最近そんな場面に出会ったのです。その話を、次回にしましょう。(Buson)

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    コラム
    「本能と愛情と恩」(その2)
    恩返し


    <日系人と日本人移住者>
     アメリカやカナダは、移民からできあがった国である事はご存知の通りです。 アメリカの政策は、多民族による多様な文化を一つ言語の基にまとめ込む多文化溶融政策をとっています。 一方、カナダ政府は一つの言語の基に統一する政策は取らずに、多文化共存主義 (マルチカルチャリズム)を基軸に政策を進めています。 それ故に、相当な国家予算を多文化共存政策の遂行に当てています。

    このことはあまりよく知られていないのですが、日本からやってくる日本人永住者にも政府 (カナダ連邦政府、多様文化政策部、国務省、雇用・移民省、ケベック州多文化移民省など) の永住援助資金が毎年、政府からでています。だが、そのお金はどこに行ってしまうのか不思議に思う 人もいるでしょう。

    実は、そのお金は、日系人が組織する日系会館(JCCC)に入って、 日系人のために使われ、新しく来た日本人には使われていないのです。また、どのくらいのもらって いるのかも公表していないのです。このお金は、納税者の税金ですから、カナダでは受益者の日系会館が 当然公開しなくてはなりません。 凶作に苦しむ北朝鮮への支援のお米が実際に、 飢餓に苦しんでいる人には渡らず どこかに消えていくのとまったくよく似ています。

     さて、ここで日系人とは何か、貴方は定義できますか。日本語で一般に使う日系人の意味と、 北米、中南米の日本人社会で使う意味と違います。 戦前から移民が行われたブラジル、ペルー、アメリカ、カナダの日本人社会では、 日本から移民した一世の子孫を日系人と呼んで区別しています。現地で生まれ、現地で教育を受けた 子弟を日系二世、三世と呼ぶようです。しかし、戦後、日本から移住してきた日本人家族の子や孫には、 日系二世、三世とはなぜか呼ばないのです。

    また、アメリカ、カナダの場合、戦前にこの国に来て住み着いた人たちを「移民」と呼び、 戦後に来た人達は「移住者」と呼びます。これは、日本政府の意向と思いますが、移民と言う言葉には、 戦前の移民政策の暗い影が残っているために、戦後から言い方を変えたのでしょう。

     カナダで生まれ育った日系二、三世は、ほとんど日本語が書けないし読めないのです。 日本語をかろうじてしゃべる人が若干いますがそれも怪しい日本語で英語と日本語の方言 をちゃんぽんにしたブロークンジャパニーズです。 当然の事ながら、その人たちは真の日本文化や 習慣ももちろん知りません。全くの現地人・カナダ人です。この人たちが、日本文化を継承し、 保存する事など不可能でしょう。

    ところが、この真の日本文化や 習慣も知らない、二世を中心にした日系人は、日本文化の継承が自分たちだけでできる錯覚して、 政府からの多様文化推進、継承資金を独り占めにしています。 戦後きた真の日本文化や 習慣を彼らより良く知っている移住者は、その恩恵が受けられません。 このことは、中国を初めアジア・中南米・アフリカの国々からの新しい移住者が、母国の文化 を持ち込んで代々継承しいるのと対称的です。

    <日系人の怨念>
     なぜこんなことが、日系人と日本人移住者との間でおきているのでしょうか。 多くの人は、この理由を知っていても怖くて言葉には出さないのですが、それはこう言う理由からです。 戦前日本から来た日本人一世が自分の子供に日本語を教えなかったその背後には、主に3つの 日本人に対する怨念があります。
    • その一つは、日本海軍の真珠湾攻撃以来、日本人は敵国人とされ、カナダ、アメリカに移民して きた日本人家族はできるだけ日本の影を消して、自分達の息子をカナダ、 アメリカ文化に同化しようと考えた。日本語を捨て英語を習わせた。

    • もう一つは、日本政府の移民政策です。戦前の日本政府は、食料の自国供給が 難しく冷害干害を繰り返す農業政策の失敗から余剰人口を海外に送り出す政策を考え出した。 いわゆる、過剰人口の輸出、棄民政策です。特に、戦前の家族制度では長男のみが家督相続する仕組みになっていたから、 農地の分配に与からない農家の次男、三男が棄民政策の対象になった。

    • もう一つは、日本には江戸時代から残っている陰湿な部落差別があった。 この部落差別から逃れるために政府の移民政策を利用して海外に新天地を求めた人もいる。


    これらの人々は、もともと日本人と日本政府にあまりいい感情を抱いていない人たちです。 日本に反感をもちながら、母国を逃れるように船に乗った人も沢山いました。 その人たちは、1日でも早く日本文化の柵(しがらみ) から抜け出したかった。それには、まず日本語が破棄される対象となったのです。 日本語から発して、当然のことながら、日本嫌い、日本人を嫌います。

     そのほかにも、日系人はカナダ、アメリカ政府に忠誠を誓う様々な努力をしています。 それでも日系人の苦労は、白人社会には通じなかったようです。戦争が勃発してまもなく日系人は、 なんの証拠もなしに姿形が日本人だから、先祖が日本から来たからという理由だけで敵国人として 強制収容所におくられ戦争が終るまで自由が拘束されました。

    日系人は、日本人から見ると、アメリカ人、カナダ人ですが、アメリカ人、カナダ人から見ると 日本人なのです。 日本人の顔をしたアメリカ人、カナダ人それが日系人なのです。

     戦後、日本企業が北米に進出をはじめた頃、日本企業のトップは、アメリカ人、カナダ人の労働者の 不甲斐なさ無責任な仕事ぶりにうんざりして、日本人の容姿をした日系人を日本人と同じ文化、 習慣を持ち合わせていると勘違いして数多く雇い入れました。ところが、日系人は日本人とは違う事に 気がつくのが遅れたために、会社の存亡をゆるがす大失態、大損失を出した例が数多くあります。 たとえば、大和銀行のニューヨーク支店事件などがその典型です。

      ところで、カナダ政府からでる多文化育成のための資金は、この日本文化に疎く日本語も知らない 日系人が排他的に運営する日系文化会館にはいり日系人のためだけに使われいるのです。このことを しらない人が多いでしょう。

    かれこれ20年も前から、戦後の移住者、永住者が中心となって日系会館内に戦後移住者の組織を 育てようとしていますが、いずれも日本語が分からない日本人嫌いな日系人に阻まれ、失敗して 全く外部に別の組織として新移住者の組織が存在している状況です。融和どころか敵同士のような 激しい対立が存在します。 新移住者の組織も政府からの多民族資金をもらう資格があるのですが政府からの 資金援助は日系会館がひとりじめが続いています。敵対視するのは、構わないでしょうが新移住者分の 援助資金もかすめてしまう日系会館は、法的には横領か詐欺行為に値します。 政府から援助金は、日系人、新移住者と別々に来るわけではないので日系会館は詐欺行為を続けて 居られるのでしょう。 それも、カナダ政府が日系人 の実態が分かっていないからで、政府から見ると日系人も新移住者の日本人も区別がつかないのです。

    <海外生活サポート組織>
     最近、日本からの来訪者が今までのような移住者と観光客以外に、留学生、語学研修生、 医学・学術関係者、ワーキングホリデー、日本で定年退職した中、長期滞在者など多種多様にわたっています。 この人たちのなかで、いままでに海外生活を経験した人は良いのですが、 はじめて海外生活をはじめる人は様々 な困難にぶつかるでしょう。私も、初めての長期海外生活は、英国で過ごしました。この時、現地の日本人組織 (日系会館に類似)から様々な、生活情報やアドバイスを受けました。おかげで現地の生活をはじめから 困難もなく十二分にエンジョイできた楽しい思い出があります。

     日本から海外に出かけると、文化や習慣の違いで初めの2、3ヶ月は、ストレスや フラストレーションが溜まります。それを乗り越えるには、親身になって相談乗ってくれるところが どうしても要ります。このストレスをうまく乗り越えられないと悲劇になる事もあります。 最悪は自殺まで発展するケースがいくつかあったようです。

    私が、20年前にモントリオールにやってきたときに、モントリオールにこのサポート組織が ない事に気がつきました。そこで、日系人と日本人との根深い確執や彼らの日本人に対する 反感も知らなかった 私は日系会館の門も叩いてみました。今考えてみると、背筋が凍りつくようなことをしていました。 当然のように日系人理事や役員連から罵倒を背中に浴びて門前払いを受けたのは当り前でしょう。 彼らに対する情報不足がそんな無謀なことをさせてしまったのです。怪我をしなかったのだけは 不幸中の幸いでした。

     これに似た組織としてモントリオール・アカデミーという会があります。今はもうなくたったようですが。 モントリオールに来る中長期滞在者の 世話をしたりイベントをしたりする親睦会した。 会を組織していたのは、2人の日系二世でしたが、カナダ生まれの彼らには 日本と違う、言語、習慣、法律など、海外生活の苦労など全く分からなかったでしょう。 会の運営は、新しく来た日本人留学生に任せきりでした。海外のことが分からない 留学生幹事が新留学生をサポートする、これでは、いいサポートなど期待できません。私が英国で受けた サポート体制と全く異質のものでした。ただし、この会は政府からの援助を受けていたわけではないので 非難するわけには行きません。

     最近、日本からこの街への来訪者が増えるに連れて、街や郊外で時々途方に暮れて困っている日本人 に遭遇します。 ある時は、バスの運転手から、払いすぎた料金を返金できないか困っている日本人を説得してくれとか、 ある時は、たまたま部屋を探しに行ったアパートの管理人から私に、 契約期間の変更が出来ないか、そこでヒステリックに叫びながら涙を流しうずくまっている 日本女性に管理人の話の内容を説明してやってくれとたのまれることもありました。

     語学のみならず日本との文化・習慣の違いで衝突する事が多いのです。 このような問題は、どこでも起きうることです。誰もが経験しているはずです。 このトラブルを少なくするには、 ちょっとしたその国の予備知識があればほとんど防げます。

    <ニューカマーズ(JCNCC)のインターネットによる情報発信のはじまり>
     小さい情報誌でも、マニュアルでも事前に読んでおけば大丈夫なのですが、 1990年ごろモントリオールには、日本語の生活情報を伝達する情報誌がなかった。 モントリオールブリテンという日系人が日系人向けに編集した月刊新聞がありましたが、 ニューカマー(新しく来た人)用の生活情報 などは載っていなかった。 そこで、そのころ始まったばかりのインターネットで情報を伝達する方法が浮上しました。 それには、それを立ち上げ、維持する資金がいります。
    そこで、もう一度日系会館の門を叩いて、新しく日本からやってきた日本人のための インターネットによる 情報サポート制度を提案する事にしました。そのために政府から援助を独り占めにしている日系会館 にも日本人に対して僅かな良心があるのではないかと期待してみました。

     カナダ政府からそれを目的とした資金を毎年受けている日系会館には、 新しく日本からやってきた日本人にも、当然その一部を与える 義務があるとも考えたからです。 日系会館に説明のために、あらかじめインターネットに見本のホームページを開き、情報を掲載して 検討してもらうことにしました。 ある日、日系会館の理事会に出席して説明する事にしました。

     理事会は、10人ぐらいの理事がいましたが全員日本語が読めにない話せない カナダで生まれの日系二世ばかりでした。 この人たちはIT社会から離れたところで生活している、パソコンを持った事も使った事もなく、 当然インターネット とは何かもわからない人たちでした。 もちろん見本に製作したホームページの内容に何が書いてあるかわからない。 情報のありがたさも全くわからない、情報社会以前の人たちばかりでした。 「なぜ、日本語の情報がいるのか」こんな質問は日本語がわからない、情報の恩恵を受けたことのない 日系人には日本語の情報の持つ有難味さえ知らなかったのです。

     移民政策の産物である日系社会は、初めに述べたように今も反日本人感情が根強く残っています。 この感情から、日本語に嫌悪感すら抱いているようです。議論は一方的英語でまくし立てて、 当方の説明にまったく聞き耳を持たない頑強な岩と戦っているようでした。 醜い人種をここで始めてみてしまったような寂しさがありました。 長い世紀にわたって、部落民などと虐げられた人種の怨念とはこうも激しいものか。 こちらのインターネットの説明すら断る始末。私の説明も2、3分で打ち切られて、 その場から叩き出され、背後から「GO OUT!」と罵声を存分にあびたことは言うまでもありません。

     これと同じ経験を昔日本でもしたことがあります。間違って部落民の社会に紛れ込んだときです。 その時の状況を今でも思い返すと背筋が凍り付く思いがします。人生で2度目の経験でした。 怪我をしなかったのだけは不幸中の幸いで、今考えてみると、間違って地獄に足を踏み込んだ ような悪夢として、 脳裏に焼きついております。

     ここで、前回の「恩のサイクル」に戻りましょう。

    <多くの人がニューカマース・コミュニティーJCNCCに駆け込み救われています>
     戦前、カナダに来た一世は、この国に根を下ろすまで相当な苦労をしたに違いない。 それゆえ、日本人会のような日本同士の情報交換の場が必要になりそれを作りました。新しくやってきた日本人 が困らないように援助を代々続けてきたはずです。

    その後、戦争で日本からの新しい移住者が途絶えました。 会の運営は、ここカナダ生まれの次世代の二世に引き継がれたのです。二世は、カナダ国の文化の中で育ち、 この国の習慣を熟知、言語を駆使できますから、新参日本人みたいに手助けの心配りはいらないし、 その心配りを受けた経験がない。
    すなわち、ここで代々引き継がれてきた前章で述べたような愛情と恩のサイクルの糸がプッツリ切れてしまったのです。 この日系二世がどこかで、先輩や先住者の暖かい愛情に満ちた援助を受けて育っていたら、 あの日系会館の会合も全く違った雰囲気であったろうと思えるし、結論も違ってきたでしょう。 (ここでお断りして置きたいのは、この議論は日系人の最大公倍数について述べたものですから、個々の 日系人の中には、上に述べた怨念などをまったく持たない人も居ます。)

     誰も新しく来た日本人の相談や苦情の聞き手がいない。 当然そのために、政府からの補助金を受けて新移住者の面倒を見るべき日系会館が インターネットによる日本人向け生活情報提供を断る。 そこで、見本に立ち上げたホームページによる情報提供を、中止するかどうか迷いました。 まず設立、継続していく相当な資金が必要です。 他人の苦労などうでもよいではないか、と言う人が多い中、我々は悩みました。 モントリオールにある日本企業の出先を訪ねましたがどこも相手にしてくれません。 まだ、バナー広告が考え出される前の話です。 その頃は、まだ、from-montreal など、他の ホームページもまだひとつも存在していない時代でした。 ・・・・・・・

    他方、この情報ホームページの必要性を希望する視聴者が日増しに増えてきたのです。 情報弱者の悲痛な悲鳴が毎日のように寄せられました。まったく知らない若い女性から 電話があり、「アパートの家主とトラブルになった。助けてほしい」「財布をすりにすられた」 「急性腸炎、お医者さんを探して」等など。

     その後、何とかモントリオールに永住、長期滞在者の有志が身銭を出し合って ニューカマース・コミュニティー(JCNCC)を 旗揚げしてこのホームページを続けています。このページは多くのボランティアの暖かい協力 によって現在、支えられています。 極寒のモントリオールにも、このような心の暖かい人も居るのだと言うこと忘れないでください。

     その都度、このホームページはボランティアの手で、できるだけの情報を収集して、 無償で、無報酬で困っている日本人を援助して、現地での貴方の トラブルの円満解決を手助けしています。

    ここで、忘れないで欲しい大事なことは、その助けてもらった人たちは、 前章の「恩のサイクル(1)」の糸をきらずに誰かに必ずつないでほしいと常に思っています。 自分だけ恩を受けて知らん顔をしているのでは、アフリカのライオン・エルザ以下です。 残念なことにそんな人が、多いのも困っています。

     ところであなたは、人にいじめられたことはいつまでも覚えていても、 助けられたことはすぐ忘れるほうではありませんか。その反対の性格に今日から変わってください。

     その後、4,5年して同じような地域情報が盛り込まれたホームページがモントリオール に現れました。 現在、それらのホームページを見ている人は、このホームページを見る人より多いのではない でしょうか。 ということは、苦しい巣立ちをしたこのホームページも、初期に目指していた人助けの役割をやっと 終わったような気がします。老将軍には、去り行く道が見えてきました。 この後は、新しい皆さんでお互いに助け合って行きましょう。 (Steve Buson)

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    日本は男性人口が女性に比べて少ない?


     海外で現地の人からよく聞かれるのは、「日本は、男性の人口が女性に比べて少ないのか」という質問。
    なぜこんな質問が出るのかとよくよく聞いてみると、旅行や観光に来ている日本人はほとんど女性、 それも結婚前の女性が多い.(最近はおばさん連中もよく街で出会うこともあるが)

     次の質問は、「日本の若い女性は、どうしてあんなにお金を持っているの?」
    この二つの質問は、どこに行っても必ず聞かれる。ケベック州のツーリストオフィスでも聞かれた。 そこで困るのは、この質問に対する返事である。どう答えたら良いか。

     初めの質問には、日本の男は忙しいから、海外で遊びまわっている暇がない。 と答えるのが無難だが、どうもこれだけでは、男女同権、家庭中心主義の欧米人にはわからない。 家庭は二の次、仕事がなにより大切という日本社会の説明が要る。終身雇用制の日本では、 仕事を放り出して1年も2年も長期休暇を取って海外でホームステイやワーホリで滞在なんてことは、 一生一社主義の男社会ではまずできない。
     女性の場合は、会社を辞めたり転職が比較的自由にできるから、転職する合間にちょっと海外旅行という気になれる。

    最近は、少し事情が変わって男の転職も割合しやすくなったようだが、とはいっても、 よっぽど専門知識や技術を持っていないと転職はまだまだ日本では不利なようだ。 年功序列の制度がない欧米の社会では同じ会社に5年以上いると不利になるといっても間違いではあるまい。自動昇進もないし給料も上がらない。
    そこで、3年経つと次の転職先を探し始める。

     どちらが良い制度かは別として、その転職の合間に男でも暇な時間がつくれる。 この間、どこか他の国に出でかけて腕を磨いてこようという気にもなれる。 また企業にいても3、4週間の長期休暇が割合簡単に取れる。サバテカルといって1、2年の休職も可能だ。
    そんな社会に生活している連中に、日本人の男は忙しいからといってもぴんとくるわけがない。 そこで日本株式会社の仕組みから時間をかけて丁寧に説明することにしている。 少しは分かってくれるだろうと期待して。

     2番目の質問の答えは、貯蓄性向の高い日本人の国民性から説明する。 社会保障や保険制度がまだ不完全な日本では、万一、非常時の貯えが必要だ。 そこで一番頼りになるのはお金。明治の時代から貯蓄は美徳とされ、 せっせと貯える習慣がついてしまった。この美徳もすこしづつ崩れつつあるが、それでも日本人の貯蓄性向は高い。
    もう一つ日本と欧米と決定的に違うのは、デートでの出費は、欧米では割り勘が普通だが日本では男が払う習慣がある。
    昔の男尊女卑の習慣がそのまま残っていて、女性にはお金を持たせなかった。また男が金銭で女の 気持ちを買う時代があった。いまでも、結納と言う儀式にそのなごりが残っている。

     レストラン、ディスコ、アルコール類、カラオケ、ホテル代など全部男の方が払う。年功序列賃金で駆け出しの安月給の若い男性の預金残高は減る方向だが、デートでは、女性は出費なし。
    丸々ただ食いただ飲み、預金残高は減らない。ある程度たまって来ると旅行業者パンフレット集め。日本国内では輸入品(化粧品、ブランドもの) が法外に高い。高いものは、海外の5倍、10倍する物もあるらしい。海外で同じ商品を十分の一の値段で 買えたらなんとなく得した気持ちに浸る。これも若い女性が預金を引き出して海外でブランドものを 買いあさる一因でもある。モントリオールの有名なデパートの店員が、 日本のギャルがフランス製の口紅を一度に10本も 20本も買っていくと驚いていた。こんな行動をとるのは世界でも日本ギャルだけだろう。

       ここらあたりを説明しないと、欧米人には日本ギャルの行動学が理解できないのではないだろうか。 それにしても モントリオールの下街を闊歩しているギャルが羨ましい。(Editor)

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