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井戸端談義 (2) - 女性専用車 - きよし と まさお | |||||||||||||||||||||||||||||
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きよし - オスっ、元気? まさお - 何とかね。 - 日本に行っていたんだんって? - うん、久しぶりにね。 −で、どうだった?何かいいことあったかい? −いいことか・・・・・ −元気がないね〜。みやげ話でもないの? −いいこと? なかったわけではないが、う〜ん、 −考えるほど少ないっていうこと? −なにかあったかな〜。 −バブル後の長い、暗い不況の中で、変人、奇人の小泉首相ががんばっていたはずだが。 −うん、そうそう、日本の景気は相当回復していたね、徐々に失業率も減る方向だ。 −小泉首相が民間人の竹中氏を金融担当大臣に起用したのが成功だったのだろうね。 −あれは、確かに大成功だったようだね。小泉さんの前の政権では役人出身の専門家 をいろいろ起用したがだめだった。 −たとえば? −宮沢元蔵相や経済官僚出身の堺屋太一氏を起用したがだめだった。 −住専(*)でもわかったが、もともと官僚は経済の事なんか分からない経済音痴が多いんだよ。 −大蔵省出身だとか通産省出身だとかいって肩書きで仕事をしているが、実力は伴わない。 −本人たちは狭いローカルな霞ヶ関社会の中で自分たちが一番だろうとおもっている。 −金融政策の失敗で過去10年間、個人の資産目張りはすざましい。それが、日本の悲劇だろうね。 −それでも、国民は不思議とおとなしい? −そのとおりだね。堺屋太一氏はマスコミにときどき出てきて「来年の桜が咲く頃には景気は回復する」といって口先であおっていた。 だが、毎年景気は悪くなっていった。今でも、TVにときどき出てくるよ。 −恥ずかしくないのかな。 −誰も、信用していないけどね。 −小泉さんといえば、郵政民営化だけだと思っている人が多いけど、 竹中さんを起用した金融改革はそれ以上の功績だね。 −だけど、小泉さんも竹中さんもいなくなった。 −後どうなっていくのだろう? −あまり良く見えない。 −旧体質にもどる? −悪くすると今のロシアみたいになる気もする。 −というと? −プーチン政権は、もとのスターリン時代に戻ろうとしている。ああなりそうな気がするよ。 −それはどうして? −与党、官僚の中には、古き良き時代を懐かしむ輩が圧倒的に多いからね。 小泉政権の構造改革には、表面では賛成していても本気ではやりたくなかった。 −ロシアの旧官僚がソ連時代を懐かしむのと同じかな? −今まで利権を貪っていた連中は、それを離したくないだろう。 −ところで、生活環境の方はどうだった?まだ酷電と皮肉られた、すし詰め電車ははしっているの? −すし詰めはひところに比べるとだいぶん良くなった。そのかわり痴漢が激増している。 −激増?なぜ? −すし詰めでは身動きが取れなかったのが少し空間ができたので仕事がしやすくなった。 −スリとおなじだな。すし詰めでは見つかったとき逃げられない・・・ −本当は、ひところに比べて女性が魅力的になったからだろう。 −へぇ〜、それは初耳だよ。 −最近は、老若にかかわらずエステサロンに通って自分に磨きをかけている。 中高生まで、短いスカートの制服で、やたら挑発的になった。 −しかし、それは男にとっては歓迎だろう。 −俺にとっては歓迎どころか、苦痛だよ。うっかり痴漢行為に誘惑されそうで。 −そういえば、早稲田大学の教授も捕まっていたね。その誘惑に逆らえなかったのかな。 −それと関係があるかどうか知らないが、痴漢対策に女性専用車両ができた。 −なに?それって性差別だろ? −そう、逆差別だね。 −俺、電車のホームで入ってきた電車に何の気なしに乗ったら女性専用車に乗ってしまった。 はじめ、気がつかなかった。大体、女性専用車などあることも知らなかった。 扉が閉まって電車が走り出したら周りの女性が俺をじろじろ見だしたのだ。 変に思って、扉や窓の近辺をきょろきょろ見回してみると大きく「女性専用車」と書いてあった。 −えっ、「女性専用車」に乗ったの?(爆笑)ゆかい、ゆかい! −愉快どころじゃないよ。恥ずかしいってなんたって穴があったっら入りたいくらいだった。 −穴ならたくさんあるのに(笑)。 −冗談言っているときじゃないよ。 恥ずかしくって顔が真っ赤になった。周辺からの女性の視線が突き刺さるように八方から飛んできた。 このお咎めの痛さに絶えかねて、冷や汗タラタラ。目の前の窓を空けて飛び降りようとも思ったよ。 心の中では俺は痴漢はしないからゆるしてくれ〜と叫んでいた。 −北米ではそんな時、必ずおせっかいな女性がいて「この車両は、 女性専用車ですよ」と注意してくれる。そんな車両なんかないけど、あったら。 −そんな人がいないか、周りを見たが誰もじっと俺を眺めているだけ。 誰かが指摘してくれれば、声を出して「日本に着いたばかりで勝手がわからず間違えてしまった」 と弁解すればそれを聞いて周囲の人も納得してくれるのだろうが、 シャイな日本人はなかなか直接指摘してくれない。 −隣の車両に逃げ出す通路もないの? −それがないんだ。仕方ない、次の駅までできるだけ小さくなって待つしかない。 目を足元に落としまま電車が次の駅に着くのをただただじっと待った。 ほんの数分間が、30分位かかったような気持ちがした。 長かったね、あの時間は。 −車掌でもまわってくればいいのにね。 −そんなときに限って来ないんだね。 −来ても厳重注意のお小言をくれるだけだろうが。 − 降りるときは、皆に頭をさげるように姿勢を低くして「ごめんなさい」と言いながら降りたよ。 降りたとき感じたのは「あ〜助かった。生きて帰れた!」という開放感だったね。 −大袈裟だな、だけどその気持ちわかるよ。大勢の人に囲まれたときの恐ろしさは俺も経験がある。 <続く> (2006/12/1) (* 編集部注)住専(じゅうせん) 住宅金融専門会社。 旧大蔵省主導で、銀行等の金融機関が共同出資して設立された金融会社。 代表者は大蔵省から天下った。 実態は、ノンバンクの一業態、個人向けの住宅ローンを主に取り扱う貸金業。 住宅金融を専門に取り扱うことから、住専と呼ばれる。 バブル崩壊後、地価が下落、不動産業者への担保価が目減りし、 融資先は元金返済どころか金利の支払いすら滞る事態となった。 融資は固定化、不良債権化して、結果的に1社を除き7社全部破綻した。 後始末に公的資金(税金)が投入されることになったため多くの批判がでた。
モスクワから(2) | 菅原 信夫
| 今日から土曜日までロシアは「祖国防衛戦士の日」で3連休です。 ロシアの休日はソ連時代からそれほど増えてないのですが、休日の前後も政府令で休みにすることが多くなってきて、それを入れると世界的に見ても休みの多い国になりつつあります。 国民の声を聞くと、はじめは喜んであっちへ行ったりこっちで集まったりしていたものの、そのお金も馬鹿にならず、何もせず家にいるというすごし方が多くなってきました。 特に今年の祖国防衛の日は、ミラノ(トリノ)オリンピックにぶつかった上、ロシアの選手たちの活躍が目立つので、結構家でテレビを見ている人が多いです。 先週末、1月に続きエルミタージュを見ました。 今回ついてくれたガイドは若いのによく勉強していて、新しい知識をいろいろと仕入れることができました。 エルミタージュは海外、特にヨーロッパの美術を集めた美術館ですが、今回印象派の作品を見ていて、そのほとんど全てがモロゾフとシューキンという二人のロシア人収集家のプライベートコレクションを1917年の革命で国家に寄贈させたものであることが分かりました。 パリでこの二人に今後価値の出そうな作品を選んで売った一人の画商がいたことも分かりました。 要するに結構すごいといわれるエルミタージュの印象派コレクションは、実はたった3名の人間により作られたのです。 二人とも貿易商で、巨額の富を毛皮などの輸出で築き、革命後は二人ともパリに移住し、今も子孫はフランスにいるようです。 要するにロシアという国は昔から良いものはすべて海外から輸入し、自分でつくろうとはまったく考えない国だということです。 現在のロシア人もまったく同じで、石油、ガスの輸出で稼いだ金で世界の良いものをどんどん買い込む。 しかし、それなりに海外製品を見る目は出来ていて、良いものなら高くても買うという姿勢を持っています。 その意味では、トヨタは何もサンクトで生産をする必要なんてないのかも知れません。 どんどん外から良い車を持ってきて、高くで売ればよいのです。 今まで、ロシアが自国での製造に熱心でないことがこの国の弱点と思っていましたが、もちろん弱点ですが、そういう国家経営を昔からしていて、何も急に変わったことではないことがわかりました。 卑近な例がワインで、この国はワイン生産に適しないのですが、その分本当に良いワインを輸入しています。 そんなことを考えながらサンクトの町を歩き、アストリアホテルで午後の紅茶とチョコレートケーキをいただくと、昔の貴族になったような気持ちがします。 菅原信夫 モスクワにて (2006/3/1)
モスクワから(1) | 菅原 信夫
| 先ほどサンクトペテルブルクより1時間ちょっとのフライトでモスクワに戻ってきたところです。 最近は日本のニュースが私のVodafoneに配信されるので、日本国内を移動しているのと同じような錯覚に襲われます。 もちろん、メールもすべて携帯で読むことができます。 サンクトの常宿に決めているホテルは構内高速LANが使い放題ですので、PCをつなげば日本のニュースが動画で見られます。 モスクワの自宅はStreamという簡易型ADSLを使用しているので、6MB程度のスピードでインターネット接続していて、これも快適な環境です。 日本の自宅、あるいは会社で仕事をしているのと、通信環境はほとんど変わらないといえます。 しかし、ニュースの中身を読むと、日本が本当に遠い異国に感じられる出来事が連発していますね。 ライブドア堀江社長の逮捕、米国産牛肉の輸入再凍結、ヤマハ発動機の中国向け無人ヘリ輸出疑惑、などなど、海外ではあまり問題になりそうにないことばかりが大事件みたいに報道されています。 個々の事件にコメントすると、変わった奴だ、と思われてしまいそうで、怖いのでやめますが、日本で無難に生きるには自分で会社など経営せずに、仕事上でも海外との関係など一切持たずに、それこそ19世紀的価値観で生きてゆくしかないみたいに感じます。 それと逮捕されただけで、その人を悪人呼ばわりする日本社会というのは、江戸時代からの士農工商の域を脱していないようで、忸怩たる思いです。 脊柱を分離するというお約束を実行しなかった米国に、日本人の神経質さを非難する権利はないし、Investors'Relations(投資家への責務)をまじめに考えたと思えないライブドアの方々に今回の当局の動きが「読めない」というのも変な話です。 すべて当然の結末なんです。 でも、なんかこのまま行くと本当に日本でリスクを取って事業をする人なんていなくなるんじゃないでしょうか。 いや、事業以前に、自分らしい生き方を模索する若人がいなくなるんじゃないでしょうか。 日本語のうまいロシア人の実業家に、事業スピードがどうしてこんなに速いのですか、と聞くと、笑いながら「俺たちに明日はない」からねえ、という発言が返ってきました。 じゃ、日本人に明日はあるのでしょうか。 明日は自分で動き回り、苦しみ、考え抜いた努力の結果の中にしか出てこないように感じるのですが。 動けば、棒にも、法律にも当たりますよ。 そういう状態を正常と見るのか、あってはならない状態だと否定するのか。ロシアを襲った零下30度の寒波がヨーロッパに移動して、今日あたりはマイナス15度まで上がってきて、頭の方も正常化してきたら、こんなことばかりを考えています。 菅原信夫 モスクワにて (2006/2/1)
井戸端談義 | きよし と じろう
| きよし - オスっ、元気? 次郎 - 何とかね。 夏ばてだ。早く涼しくなって欲しいよ - 衆議院解散、総選挙だってさ - 知っているよ - 小泉さんやるね - どうして? - あれで反対勢力をふるい落とそうと考えているんだろう? - そうみたいだよ。反対分子を切り捨てるつもりだ - それにしても、小泉さんは政治に関しては鋭い感性を持っている - どうして? - 解散したら支持率が10%も上がったんだよ。彼は読んでいるね。 俺は支持率下がると思ってた。と言うことは、郵政民営化に多くの国民は賛成なんだ。 - 国民が、彼の変人ぶりと言うか、頑固と言うか、根性みたいなところも気に入っているんだよ。 顔ではヨシヨシと同意していながら、実際は反対のことをやっている政治家が多いじゃないか。 - 政治家だけでなく、俺の周りはそんな大人ばかりだよ。 - そう言う裏表のある人間を国民は嫌いなんだ、特に若い人は。 時代が変わってきているんだろうか - 通信手段の発達でどんどん欧米のニュースや習慣が入ってくる。インターネットの役割も 大きいね。今までの日本の制度では全く存在しなかった、 情報公開とか、アカウンタビリティなんかもそうだろう。 - もうひとつ、彼の感性に驚いたのは今度の選挙の争点を「郵政民営化」に絞ったことだ。 自民党の反対勢力だけが、郵政民営化に反対じゃない、野党も反対だ。国民は半数以上が賛成。 こうなると、浮動票を一手に貰うつもりだろう。 - 民主党も 郵政民営化に反対だ。全逓の組合の支持を受けている以上賛成はできない。 と言うことは、国民の支持が減る、小泉さんにとっては追い風が吹く。 - そういえば、この選挙では野党の影が薄いね。小泉さんの政策に反対して郵政民営化反対なんて 叫ぼうものならがくんと支持が下がる。 - 国民は、お役所が嫌いなんだ。郵便局の窓口でこれは駄目、あれは駄目とやたらに突っ返すやり方 にうんざりしているんだよ。 - たとえば? - 無数にあるよ。 出張で1ヶ月以上不在になるから局止めを電話で依頼したら、「ちゃんと局に来て所定の 用紙に記入の上、捺印を押して申し込め」、とか「局止めは1ヶ月まで、それ以後は差出人に 返送します」とか海外から小包が来たら「送り業者からの請求書をもって出頭せよ。 FAXでは受け付けない」、請求書を持って小包をとりに行ったら「今は沢山他の荷物があって 渡せない」と言って1週間後に送ってきた。 - そりゃ、ひどい。中身は何だったの?どこで? - コンピュータの本。大阪中央郵便局外郵課。 郵便局や役所は国民を苛めれば苛めるほど言うことを良く聞くので、 奴隷を苛めるみたいに面白がってやっている気がする。 - 国民一人一人皆同じような経験があるのじゃないかな? 役所の仕事は、モノポリー(独占事業)だから国民は仕方なく言われたとおりに従わざる得ない。 だから面白がって苛めているところがあるね。 - 旧国鉄も旧電電公社も同じだったね。国鉄も電電も 民営化して国民は苛められないで楽になった。その上、競争で安くなったし便利になった。 日本の国内郵便料金は アメリカから出す海外郵便料金より高い。そこで、日本のダイレクトメール業者がアメリカから 日本の消費者にダイレクトメ−ルを迂回させて出していたことがあった。すぐに法律で禁止されたけど。 それに、JR、NTTになってから税金の無駄遣いも無くなった。 - 郵政族の民営化反対議員は、そんな国民の苦労が分かっていないね。 自分の票田のことばかり考えている。地方の郵便局長が集める集票効果に頼りたいばかりに。 - 今回、郵政族議員は、選挙でみんな落ちてくれると有難い - 選挙権を持ってから、一回も自民党に入れたことは無かったが今回は、小泉自民党に 入れるよ。 - 民主党じゃないの? - 小泉さんが首相になる前の自民党は、賄賂政治の腐れ切った党だったが最近少し変わってきている。 民主党のイデオロギーは賛成だが、労組の出身の議員をあれだけ抱えていたら、国民のための 政治より組合のために政策になってしまうよ。 郵政民営化反対は、そのいい例だ。 - 今度の選挙では、民主党は政権を取れないだろう。鞍替えする有権者も 多いのではないかな。 - 俺もそう思うよ。民主党の方がもっと官僚的なところがある。 - いままで、民主党のアンケートなどで協力してきたが、民主党への質問や要望事項を メールしても返ってくるのは、「後程、検討してご返事します」とくるだけ、全く 有権者に面と向かって返事しない。官僚の答弁だよ、うんざりする。 人を使ってでもいいから、有権者の問いにはその都度、納得させるメールの返事を出さなくては。 これでは、次期政権なんて絶対無理だね。以来、民主党は支持しないことにしたよ。 - 小沢さんはこのところ黙っているがどうしたんだろう? - きっと、基本的には郵政法案賛成なんだよ。彼はもう少し有権者を見ているみたいだから。 しかし、小沢さんも小泉手法に兜を脱いでいるのはないかな。(2005/8/12)
メープル街道 | はしなか すすむ
| 「メープル街道よかったわー」 「メープル街道にいった?」 こんな声がおばさんたちからとんできた。 同時多発テロが起きてから、アメリカ行きを断念してカナダに行き先を急遽変更した観光客の帰国第一声だった。 嘆きの混じった賞賛とも感激ともいえない、複雑な声だ。 「メープル街道?」 「そんなものどこにあった?」 「あんた知らないの?」 「うん、知らない」 「メープル街道を知らないなんて、あんたカナダに住んでいたなんてウソでしょ」 「ウソじゃないよ」おばさんたちの声に圧倒されそうになりながら「長い間カナダにいるけど、そんな観光名所なんてはじめて聞くね」 「不法滞在で、警察の目を気にしながら隠れて生活していたから知らなかったのじゃないの」 おばさんは皮肉たっぷりに いやみをこめて言い返した。 「不法滞在したからと言っても、有名な観光地の名前ぐらいは、耳に入るよ。それに、れっきとした永住許可書 も、もっている。ホラッ 」 「そりゃ、変ねー、おかしいわねー、東京に住んでいる人が東京タワーにのぼったことないという話は良く聞くけど、 それでも東京タワー位知っているわよぇ」隣のちょっと可愛いおばさんと声をそろえた。 やり込められたようは、なんとなく居心地の悪い思いをしながら、やれやれやっと空港バスは都心のターミナルに着いた。 口の悪い、可愛いおばさんたちからやっと開放された。 モントリオールに帰ってきて、まず身近な日本人に、 「メープル街道をしっている?」と真っ先に聞いてみた。 「なに?メープル街道?そんなものどこにあるの?」 「カナダに・ ・ ・ 、すばらしい観光地だと日本人は絶賛している」 「そんなところがあるの?」 「あるらしい」 「どこ、どこ、どこに、教えて」とその人はカナダの地図を探しに行った。 ほかの何人かにも聞いてみたが答えは似たり寄ったり、みな知らなかった。 カナダ人にも聞いてみたが、10人中1人も知らなかった。多分、カナダ人の大半は知らないだろう。 カナダに長く住んでいる日本人の知人が、 「そう言えば、日本語のインターネットのホームページでそんな名前を見たことがある」といった。 もう一人の日本人相手に観光案内の仕事をしている日本人が、 「メープル街道?そんなものはありませんよ。日本人が勝手にそう呼んでいるだけでしょう。 われわれは適当に、モントリオールとケベック市を結ぶ何本かの道路の 楓が並んでいるそれらしきところに観光客を連れて行って、ここがメープル街道ですとやると、日本人観光客は みな満足して帰りますよ。そうしないと収まりませんから」 「ここがそうです、と決めれた場所はないの?」 「それらしきところ、すべてがメープル街道になるのよ」 「日本の旅行業者の商魂にのせらたれた観光客も哀れなものだね」 「そんな人たちに問い詰められておどおどしていた貴方もあわれなものよ」 ここでも、またやられた。 さて、ここまでは誰が正しいのか。 まず、インターネットでくまなく検索してみた。すると、ケベック州政府観光案内の日本語のページには「メープル街道」なる文字が 一箇所出てくるが、英語版、フランス語版にはない。 「どうして?」 この疑問を解くために、ケベック州政府観光局に出かけることにした。 「メープル街道はどこにあるの?」と観光局の係官に質問してみると、 「EVERYWHERE!」簡単な答えだった。 よく聞くと、この名前は日本の旅行社が勝手につけた名で、正式な名前ではないらしい。 ケベック州政府観光案内の日本語のホームページには、「オフィシャルとまで書いているが」とといただすと、 「それは翻訳上、日本人翻訳者が誤訳したかの日本の旅行雑誌から転訳したのだろう」 といって、正式な日本語の観光パンフレットを 手渡された。今年初めて日本人観光客向けに本格的に制作したという上質紙を使った、30ページくらいのカラフルな小草子だった。 それは、全部日本語で書かれていたが、そのどこを探しても「メープル街道」の文字は見当たらなかった。 そうか、あのおばさんたちは、日本の旅行会社の商魂にのせられ、だまされて連れて行かれたのか。「お気の毒なことに」今度はこちらが同情したくなった。 ところで、あのおばさんたちは今でも、 「メープル街道よかったわー」 「メープル街道にいった?」と、くりかえしているのかしら。
モントリオールのホームレス | 津村 巌 |
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「コミュニケーションの能力」 しげまつあきら | ||
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